マステロン サイクル完全設計|プロピ/エナン選択・仕上げ期8〜10週・テスト+トレン三本立て【2026年版】

マステロン サイクル完全設計|プロピ/エナン選択・仕上げ期8〜10週・テスト+トレン三本立て【2026年版】

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結論: 3行で言うと

マステロン(ドロスタノロン)のサイクル設計は、「テストステロンを土台にして、減量末期の仕上げ期(コンテスト4〜10週前)に差し込む」のが王道です。単体使用は推奨されず、必ずテストエステルを並走させて性機能・気分の落ち込みを防ぎます。

エステル(成分の溶け方を決める結合形態)は2種類あり、プロピオネートは隔日注射で短期コンテスト直前向け、エナンセートは週1〜2回で12週以上の長期サイクル向けです。注射ペースの好みと、サイクル長で選び分けます。

用量は中級者で週300〜500mg、上級者でも700mgまでが現場の標準レンジ。トレンボロンと組ませた三本立てが「仕上げの完成系」とされる一方、初心者にはテスト+マステロンのリーンバルクや、TRT(テストステロン補充療法)に低用量マステロンを乗せたウェルネス型のほうが現実的な選択肢になります。

1. なぜマステロンはサイクル設計が難しいと言われるのか

マステロンは「使い方を間違えると効果を感じにくい」典型的なAAS(アナボリックステロイド)です。理由は3つあります。

ひとつめは、マステロン単体ではほぼ効かないこと。ドロスタノロンはアナボリック比(筋肥大の指標)に対してアンドロゲン比(男性ホルモン作用の指標)が高く、しかもエストロゲンに変換されません。エストロゲンはバルク期の筋肥大とパンプ感に必須なため、マステロン単体ではむしろ筋量が乗りにくくなります。テストステロン(以下テスト)を土台にして初めて意味のある仕事をする薬です。

ふたつめは、体脂肪率が高い状態では効果が見えにくいこと。マステロンの売りは「ハードルック」「絞り感」「血管浮き出し」ですが、これは体脂肪率が概ね10%を下回ってから視認できる変化です。体脂肪率15%以上の人がマステロンを入れても、体感としては「テスト単体と何が違うのかわからない」という感想になりやすい。

みっつめは、エステル選択を間違えると注射計画が崩壊すること。プロピオネート(短いエステル)は隔日注射が前提で、週3回打たないと血中濃度が乱高下します。サイクル中に出張や旅行が入る人がプロピオネートを選ぶと、注射スキップで血中濃度が割れてしまう。逆にエナンセート(長いエステル)を10週サイクルで使うと、立ち上がりに3〜4週かかってしまい、短期コンテスト合わせには遅すぎる。

つまりマステロンは、「土台のテスト用量」「体脂肪率」「サイクル長と注射ペース」の3軸を同時に設計しないと、ただの高い注射剤になります。本記事ではこの3軸を具体的なプロトコル(投与計画)に落とし込みます。

2. プロピオネート vs エナンセート — 選び方の判断軸

マステロンには2つのエステル型があり、店内で扱っているものは下記のとおりです。

製品名 濃度 内容量 価格 在庫
マステロン・プロピオネート 100mg/ml 10ml ¥12,000 あり
マステロン・エナンセート 200mg/ml 10ml ¥17,000 予約(欠品中)

選択の判断軸は3つ。

注射ペース

プロピオネートは半減期(血中濃度が半分になる時間)が約2日と短く、月・水・金の隔日注射(EOD: every other day) が標準です。週3回の注射に抵抗がない人向け。

エナンセートは半減期が約7日で、週1〜2回(月・木のE3.5D、または週1回) で済みます。注射回数を減らしたい人、長期サイクルを組む人向け。

サイクル長

プロピオネートは6〜8週の短期サイクル、特にコンテスト直前4〜8週の仕上げ期にハマります。立ち上がりが早いので、ステージ1ヶ月前から差し込んでも間に合う。

エナンセートは10〜16週の長期サイクル向け。立ち上がりに3〜4週かかるため、シーズン丸ごと(オフ後半〜カット完了まで)を見越したサイクルで本領を発揮します。

痛みと筋肉ダメージ

プロピオネートは溶剤(BB/BA)濃度の関係で「PIP(post-injection pain、注射後の痛み)」が出やすいことで知られます。隔日で違う部位を回す必要があるのが現実的な負担。

エナンセートはオイル粘度が高く太い針が必要ですが、痛みは出にくい。同じ部位での週1運用が可能なので、注射部位の管理がラクです。

結論として、コンテスト直前4〜8週の仕上げで使うならプロピオネート、12週以上の通年サイクルに組み込むならエナンセートが第一選択になります。在庫状況的に現状はプロピオネート中心の運用が現実的です。

3. マステロン サイクル設計の核 — 用量チャート(初心者/中級者/上級者別)

ここからは具体的な用量を提示します。あくまで一般的な現場レンジであり、個人差(肝機能、心血管リスク、年齢、過去サイクル歴)で調整が必要です。

マステロン・プロピオネート 用量チャート

レベル 週用量 1回あたり 注射ペース サイクル長
初心者(マステロン未経験) 推奨外
中級者(2サイクル目以降) 300mg/週 100mg EOD(月水金) 6〜8週
上級者(5サイクル目以降) 400〜500mg/週 100〜150mg EOD 8〜10週
コンテスト仕上げ期 500〜700mg/週 100〜150mg ED〜EOD ステージ4〜6週前限定

マステロン・エナンセート 用量チャート

レベル 週用量 1回あたり 注射ペース サイクル長
中級者 400mg/週 200mg E3.5D(月木) 10〜12週
上級者 500〜600mg/週 250〜300mg E3.5D 12〜16週
TRT延長(後述) 100〜200mg/週 50〜100mg 週1〜2回 通年〜ブロック制

初心者にマステロンが推奨されない理由は、上で述べたように「単体では効果が見えにくい」「体脂肪率が低くないと差が出ない」「テスト単体で得られる経験値が不足する」の3点です。最初の1サイクル目はテスト単体(テストエナンセート週300〜500mg×12週)で身体の反応を学ぶのが、結局は遠回りに見えて近道になります。

土台のテスト用量については、テストステロン・エナンセート サイクル設計ガイドで体重別の組み方を解説しています。マステロンを乗せる前提のテスト用量設計は、こちらを先に読んでおくと迷いが減ります。

> 補足: Bhasin らの研究(NEJM 1996, PMID 8637535)では、テストステロン週600mgを10週投与した群で、トレーニング有無にかかわらず除脂肪体重と筋力が有意に増加したことが報告されています。テスト単体でもこの規模の変化が起きるため、最初のサイクルでマステロンを乗せても「マステロンの効果」を分離して観察できないというのが、初心者非推奨の根拠になっています。

4. 仕上げ期(コンテスト直前6〜10週)の定番プロトコル

ボディコンテストやフィジーク大会の直前6〜10週、いわゆる「ピーキング期」での定番プロトコルが下記です。体脂肪率が10%を切ってからのプロトコルであり、それより上の段階で投入してもマステロンの売りは見えません

プロトコルA: ステージ8週前スタート(プロピオネート単独追加)

テスト マステロン・プロピオネート 補助
W-12〜W-9 テストE 300mg/週 (減量フェーズ)
W-8〜W-1 テストP 100mg EOD(週300mg) 100mg EOD(週300mg) アロマターゼ阻害薬を必要時
ステージ後 PCT開始(後述)

ポイントは、ステージ8週前にテストもエナンセートからプロピオネート(短いエステル)に切り替えることです。エナンセートは離脱に2〜3週かかり、ステージ当日まで水分保持が抜けきらないことがある。プロピオネートに揃えておくと、ステージ前に「クリーンに抜く」操作がしやすくなります。

プロトコルB: ステージ10週前スタート(エナンセート、長期型)

テスト マステロン・エナンセート 補助
W-12〜W-1 テストE 300mg/週 400mg/週(月木分割) 必要時AI
ステージ前2週 全休薬してドライアップ
ステージ後 3週空けてPCT開始

エナンセートは長く効くため、ステージ前2週で打ち止めにしても血中に残ります。ドライアップ(水分・ミネラル操作で皮膚下の水分を抜く工程)と並行させやすいのが利点。

5. テスト+トレン+マステロン三本立て — 仕上げの完成系

中級者以上の仕上げ期で「もう一段上」を狙う場合の定番が、テスト+トレンボロン+マステロンの三本立てです。

標準プロトコル(8週)

薬剤 週用量 注射ペース 期間
テストステロン・エナンセート または プロピオネート 200〜300mg/週 E3.5D or EOD 8週
トレンボロン・アセレート 200〜300mg/週 EOD 8週
マステロン・プロピオネート 300〜400mg/週 EOD 8週

トレンボロンは強力なアンドロゲン作用で筋密度を上げ、マステロンが見た目の硬さと血管浮き出しを担当します。テストはあくまで「土台」のため低めの200〜300mg/週に抑え、副作用(水分保持、女性化乳房リスク)を最小化するのが現代的な組み方です。

三本立てが上級者専用とされる理由

トレンボロンは副作用プロファイルが特殊で、不眠・寝汗・心血管負担・気分変動(俗に「トレンレイジ」)が出やすい薬剤です。マステロンの穏やかさと並走させても、トレンボロン単独の負担は減りません。トレンボロンの基礎はトレンボロン完全ガイドを参照してください。

> 補足: AASの副作用全般について、Bonetti らのレビュー(Int J Sports Med 2008, PMID 18004690)が、心血管(脂質プロファイル悪化、HDL低下)・肝機能・神経精神(攻撃性、抑うつ、依存)・内分泌(性腺機能低下)の各領域で観察された有害事象をまとめています。三本立ては「効きやすさ」と「副作用負担」が比例するため、過去サイクル経験のない人がいきなり組むのは推奨されません。

6. テスト+マステロンのリーンバルク(初心者寄りの選択肢)

マステロンを使ってみたい中級者の最初の組み合わせとして現実的なのが、テスト+マステロンの2点立てによるリーンバルク(緩やかな増量と引き締まりを両立させる組み方)です。トレンボロンを抜くことで副作用負担が大きく下がり、注射ペースの管理もシンプルになります。

標準プロトコル(12週)

テストエナンセート マステロン・エナンセート アロマターゼ阻害薬
W1〜W12 400mg/週(月木分割) 300〜400mg/週(月木分割) 必要時のみ

テストとマステロンを同じエナンセートで揃えると、月曜と木曜の2回注射で完結します(同じシリンジで混合可)。E2(エストラジオール、エストロゲンの主要型)管理についても、後述するようにマステロン自体に穏やかなAI(アロマターゼ阻害)効果があるため、別途AI薬を入れずに済むケースも多い。

リーンバルクの特徴

このプロトコルは、水分保持を抑えつつ筋肉に密度感を出す方向に効きます。スケールでの体重増加は週0.2〜0.4kgとゆっくりですが、見た目の変化は大きい。「鏡で見たときの締まり感」を優先する人、ファミリーや職場にバレずに身体を作りたい人に向いています。

ただしカロリー収支がマイナスに振れていると、マステロンの「絞り感」効果はわかりやすく出ますが、増量効果は霞みます。カロリー収支を維持〜微増(+200kcal/日)で組むのが、リーンバルクの本来の狙いを引き出すレンジです。

7. HRT延長型 — TRTにマステロンを乗せるWellness運用

近年の海外フォーラム(Reddit r/trt 等)で議論が増えているのが、TRT(テストステロン補充療法、テストの長期低用量補充)に低用量マステロンを乗せる「Wellness運用」です。

TRT延長型の標準プロトコル

薬剤 週用量 期間
テストステロン・エナンセート 100〜150mg/週(医師処方ベース or 個人輸入) 通年
マステロン・エナンセート 100〜200mg/週 ブロック制(8〜12週オン → 8〜12週オフ)
クロミフェン or HCG プロトコルにより 適宜

このプロトコルは、「ステージに乗らないが体型を維持したい中年男性」「TRTで気力は戻ったが見た目の若返りまでは届かない人」を念頭に置いた運用です。

マステロン低用量(100〜200mg/週)を間欠的に乗せると、SHBG(性ホルモン結合グロブリン、テストの遊離度を下げる血中タンパク)が抑制され、TRT用量を増やさずに遊離テストステロン(実際に効くテスト)が増える現象が観察されます。結果、フィット感・性機能・メンタル安定が「TRT単体より一段上」のところに着地する。

注意点

ただしTRT延長型は、国内で承認された治療法ではないことを理解しておく必要があります。日本の保険診療でTRTを受けている人がマステロンを自己判断で追加することは、診療ガイドラインから外れる行為です。個人輸入での自己責任運用となり、定期的な血液検査(テスト、E2、PSA、HDL、肝機能、ヘマトクリット)が必須になります。

マステロンの全体的な作用機序や副作用については、マステロンの効果まとめ、およびマステロン完全ガイドで網羅的に解説しています。

8. E2(エストラジオール)管理 — マステロンのAI効果を活かす

マステロンの大きな特徴のひとつが、穏やかなAI(アロマターゼ阻害)効果です。1960〜1970年代に乳がん治療薬として使われた歴史的経緯からもわかるとおり、マステロンはエストロゲン受容体への弱い抑制作用を持っています。

実務的な意味は3つ。

ひとつめは、マステロン使用中はAI薬の用量を減らせる、または不要になることが多いこと。テスト+マステロンのリーンバルクでは、アナストロゾール(アリミデックス)やエキセメスタン(アロマシン)を週用量分のうち1/2〜1/3に減らせるケースが報告されています。ただしこれはE2の血液検査値で確認すべき事項で、感覚で減らすとE2クラッシュ(E2が落ちすぎて関節痛・性欲減退・うつ症状を起こす状態)のリスクがあります。

ふたつめは、SHBGを抑える作用と相まって、テストの「効き」が増すこと。前述のとおり遊離テストステロンが増えるため、同じテスト用量でも体感が変わります。これがマステロンを「魔法の調味料」と呼ぶ人がいる所以です。

みっつめは、E2を完全に潰してはいけないこと。E2は男性のリビドー、関節健康、心血管保護、骨密度に必須のホルモンです。マステロンのAI効果に期待しすぎてAI薬を併用しすぎると、E2が低くなりすぎて逆に身体が壊れます。目標E2は20〜40 pg/mL(医療機関の参照値による)を維持するのが現代的な運用です。

血液検査の推奨項目とタイミング

タイミング 検査項目
サイクル開始前 テスト総量、テスト遊離、E2、SHBG、LH、FSH、HDL、LDL、ヘマトクリット、ALT/AST、PSA(35歳以上)
サイクル中(4週目) テスト総量、E2、HDL、ヘマトクリット、ALT/AST
サイクル中(8週目) 同上
サイクル終了2週後 テスト総量、テスト遊離、LH、FSH、E2
PCT終了後 同上 + 内分泌系全般

9. PCT(ポストサイクルセラピー) — クロミ+ノルバ+HCGの組み方

サイクル後のPCT(ポストサイクルセラピー、休薬後にHPTA=視床下部-下垂体-精巣軸を回復させる工程)は、マステロンサイクルでも例外なく必要です。

> Vilar Neto らの systematic review(Andrologia 2021, PMID 33887077)では、AAS使用後の性腺機能低下症(hypogonadism)は多くの場合可逆的であるものの、回復には数ヶ月から1年以上を要するケースが報告されています。PCTを組まずに「自然回復に任せる」選択は、回復期間の長期化と恒久的な精子形成障害のリスクを上げる選択肢です。

標準PCTプロトコル(マステロン+テスト サイクル後)

エステルがプロピオネート主体だった場合、最終注射から2週間後にPCT開始。エナンセート主体だった場合は3週間後に開始します。

クロミフェン(クロミッド) タモキシフェン(ノルバデックス) HCG
W-2(サイクル終了前) 500〜1000IU を週2回 × 2週(任意)
W1〜W2 50mg/日 20mg/日
W3〜W4 25mg/日 20mg/日
W5〜W6 10mg/日

HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の使い方

HCG 5000IUはサイクル中の「精巣維持」と、PCT直前の「精巣立ち上げ」の両方に使えます。サイクル中は週500IU×2回(月木)で精巣サイズの維持が目的。PCT直前2週間は1000IU×2回に増量し、クロミ・ノルバ開始時に精巣がHCG依存から自前のLH反応に切り替わるよう準備します。

クロミフェンとタモキシフェンの役割分担

クロミッド(クロミフェン)はSERM(選択的エストロゲン受容体調整薬)として、視床下部のエストロゲン受容体をブロックすることでLH/FSH分泌を促します。役割は「テスト産生の再起動」。

ノルバデックス(タモキシフェン)も同じSERMですが、乳腺組織でのエストロゲン作用を強くブロックする特性があり、「ジネコマスチア(女性化乳房)予防」が主目的です。サイクル中にE2が高めに出た人は、タモキシフェンのほうを先に揃えておくと安心。

> 補足: Blazewicz らの研究(Front Chem 2025, PMID 40177353)では、PCTで使用される医薬品の質的分析を通じて、市場流通する一部のSERMに含有量の不正確さや偽造品が含まれることが報告されています。個人輸入経由で入手する場合、信頼できる代行ルートを選ぶことの重要性が示唆されています。

> 補足: McBride and Coward の研究(Asian J Androl 2016, PMID 26908067)では、外因性テストステロン投与またはAAS使用後の精子形成回復について、HCGとSERM併用の有効性が論じられています。「PCTを丁寧に組む人ほど、サイクル間の生殖機能が保たれやすい」というのが学術文献からも支持されている見解です。

10. 副作用管理 — 脱毛・前立腺・HDLの3点セット

マステロンの副作用プロファイルは、テストステロンより穏やかですが「DHT骨格特有の3つ」は避けて通れません。

脱毛(AGA進行)

ドロスタノロンはDHT(ジヒドロテストステロン)から派生した骨格を持ち、毛包のアンドロゲン受容体に直接作用します。遺伝的にAGA(男性型脱毛症)素因がある人は、マステロンサイクル中に脱毛が一気に進むケースが報告されています。

対処として、フィナステリド(プロペシア)はマステロンに対して効果がないと考えられています(フィナステリドは5α還元酵素阻害でDHT生成を抑える薬ですが、マステロンはすでにDHT骨格のため酵素変換ステップを経ません)。マステロン使用中の脱毛対策はミノキシジル外用主体になり、根本的な進行抑制は難しい。AGA素因がある人はマステロン回避が現実解です。

前立腺肥大・PSA上昇

DHT類似物質は前立腺組織に作用し、PSA(前立腺特異抗原)の上昇や排尿症状(夜間頻尿、残尿感)を起こすことがあります。35歳以上の人はサイクル前後でPSA測定が推奨されます。

家系に前立腺がん歴がある場合や、すでに前立腺肥大の症状がある場合は、マステロン回避が無難です。

HDLコレステロール低下と心血管リスク

経口AASほどではありませんが、注射AASでもHDL(善玉コレステロール)が10〜30%程度下がることが観察されます。マステロンも例外ではなく、サイクル4週目以降にHDLが基準値を下回ることが多い。

対処として、サイクル中はオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)を3g/日以上、有酸素運動を週150分以上を確保するのが現代的な運用。サイクル長を8〜10週に絞ること自体がHDL保護に寄与します。

> 補足: Bonetti らのレビュー(Int J Sports Med 2008, PMID 18004690)で示されているとおり、AASの長期使用はHDL/LDL比の悪化、左室肥大、内皮機能障害といった心血管系の有害事象と関連します。「副作用が穏やか」と言われるマステロンであっても、サイクル長と頻度を増やすほどリスクは累積します。

その他の注意

  • 女性化乳房: マステロン自体はAI効果を持つため女性化乳房リスクは低いが、土台のテスト用量が高い場合は別途AI管理が必要
  • 皮脂分泌・ニキビ: DHT骨格特有のアンドロゲン副作用として、背中・胸のニキビが出やすい
  • 睾丸萎縮: 全AAS共通。HCG併用で予防可能(前述)

11. サイクル中のトレーニング・栄養設計

マステロンサイクルの効果を最大化するには、薬剤プロトコルだけでなくトレーニングと栄養の設計が連動している必要があります。

トレーニング設計

マステロンは「筋密度と硬さ」を出す薬であり、新しい筋繊維を作る方向(ハイパートロフィー主体)よりも、既存の筋繊維を引き締める方向で効きます。よって、サイクル中のトレーニングはコンパウンド種目(スクワット・デッドリフト・ベンチ・ロウ)で土台を維持しつつ、アイソレーション種目で形を仕上げる配分が向いています。

ボリューム(週セット数)を急に増やしてもマステロンの売りは出ません。むしろ強度(重量)を維持して、姿勢とフォームを意識する方向のほうが、見た目の硬さに直結します。

栄養設計

カット期(コンテスト合わせ)では、タンパク質を体重×2.0〜2.5g/日に高めて、筋肉量の保護を最優先にします。総カロリーはメンテナンス(維持カロリー)から-200〜-500kcal/日のマイナス幅で、週0.3〜0.5kgの体重減少ペースを狙う。

リーンバルク期では、メンテナンス+200kcal/日のごく緩やかなプラスで、週0.2〜0.4kgの体重増加ペース。タンパク質は体重×1.8〜2.0g/日が目安。

水分は1日3〜4Lを基本ラインに。ステージ前のドライアップ操作はステージ48〜72時間前から段階的に減らしますが、これはマステロン特有の話ではなく、コンテスト共通のテクニックです。

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12. よくある質問(FAQ)

Q1. マステロンは初心者でも使えますか? A. 初心者の最初のサイクル(1サイクル目)では推奨されません。理由は、マステロン単体では効果が見えにくく、テストステロン土台でないと意味のある仕事をしないため、初心者の場合は「自分の身体がAASにどう反応するか」を学ぶ機会を奪うことになります。テスト単体で1〜2サイクル経験してから、3サイクル目以降にマステロンを乗せるのが現実的です。

Q2. プロピオネートとエナンセート、結局どちらを買うべき? A. ステージや撮影が4〜8週後に決まっている人はプロピオネート、12週以上の長期サイクルや通年運用を想定している人はエナンセートが向いています。在庫状況的には現状プロピオネート(¥12,000)が安定供給されており、エナンセート(¥17,000)は予約商品扱いです。注射回数を減らしたい人で短期使用なら、プロピオネートを「週3回6週」で運用する選択肢もあります。

Q3. テスト単体サイクルにマステロンを途中から追加してもいいですか? A. 可能ですが、推奨は「サイクル後半6〜8週からの差し込み」です。例えばテストエナンセート週400mgの12週サイクルで、W7からマステロン・プロピオネート週300mgを足す形。前半は土台作り、後半で仕上げに振る運用ができます。ただしマステロン・エナンセートの場合は立ち上がりに3週かかるため、後半差し込みには向きません。

Q4. PCTでクロミとノルバ両方使うのは過剰ではないですか? A. 過剰ではありません。クロミとノルバは作用機序が同じSERMでも、組織選択性が違います。クロミは視床下部のエストロゲン受容体を強くブロックしてLH/FSHを上げる役割、ノルバは乳腺の女性化乳房予防に強い役割で、目的が分かれています。両方使うことでHPTA回復の確実性が上がるため、現代的なPCTプロトコルでは併用が標準です。

Q5. マステロンサイクル中にお酒を飲んでもいいですか? A. 飲酒は推奨されません。マステロンは肝毒性が低い注射AASですが、土台のテスト+トレンを併用している場合、肝臓の代謝負担が累積しています。さらにアルコールはE2(エストラジオール)を上げ、HDLを下げる方向に働くため、マステロンのAI効果と心血管プロファイル管理を打ち消します。サイクル中は禁酒、もしくは週1回程度に抑えるのが現実解です。

Q6. マステロンは女性が使ってもいいですか? A. 一部の女性ボディビルダーがマステロンを使用するケースは存在しますが、声の低音化(不可逆)、陰核肥大、生理不順、多毛などの男性化副作用リスクが高く、当店では女性向けの推奨はしません。女性の絞り期向けには、より穏やかな選択肢(アナバー低用量等)が検討されますが、これも医師の管理下が前提です。本記事は男性向けに書かれています。

Q7. ドーピング検査がある競技に出る場合は? A. マステロンを含むすべてのAASは、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)禁止物質リストに掲載されています。検出ウィンドウ(尿中代謝物が検出される期間)はプロピオネートで2〜3ヶ月、エナンセートで3〜5ヶ月以上とされており、競技参加予定がある人は使用しない判断が必要です。検査対象競技でない場合でも、健康診断の血液検査でテスト・E2・HDL異常が指摘される可能性は残ります。

13. まとめ — マステロン サイクル設計の意思決定フロー

最後にここまでの内容を、意思決定フローに落とし込みます。

1. サイクル経験を確認: マステロンは2サイクル目以降向け。1サイクル目はテスト単体推奨 2. 体脂肪率を確認: 10%未満で投入が前提。15%以上ではマステロンの売りは出ない 3. 目的を明確化: コンテスト直前仕上げ → プロピオネート/長期通年運用 → エナンセート/TRT延長 → 低用量エナンセート 4. 土台のテスト用量を設計: 200〜500mg/週(目的により可変) 5. マステロン用量を設定: 中級300〜400mg/週、上級400〜700mg/週 6. AI薬を準備(必要時): マステロンのAI効果を加味して減量可能 7. PCT薬を事前購入: クロミッド + ノルバデックス + HCG をサイクル開始時に揃えておく 8. 血液検査を計画: 開始前・4週・8週・PCT後の4ポイント

サイクル設計は「やる前に決めること」が9割で、開始してから調整するものではありません。本記事のプロトコルを下敷きに、自分の経験値・目的・予算・血液検査計画を組み合わせて、開始2週間前にはすべての薬剤と検査キットを揃えておくのが理想的です。

関連する用量設計の記事として、テストステロン・エナンセート サイクル設計トレンボロン完全ガイドメセノロン(プリモボラン)用量設計を併せて参照すると、スタック全体の設計精度が上がります。

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参考文献

  • Bhasin S, Storer TW, Berman N, et al. The effects of supraphysiologic doses of testosterone on muscle size and strength in normal men. *N Engl J Med*. 1996. PMID: 8637535
  • Bonetti A, Tirelli F, Catapano A, et al. Side effects of anabolic androgenic steroids abuse. *Int J Sports Med*. 2008. PMID: 18004690
  • McBride JA, Coward RM. Recovery of spermatogenesis following testosterone replacement therapy or anabolic-androgenic steroid use. *Asian J Androl*. 2016. PMID: 26908067
  • Vilar Neto JO, da Silva CA, Bruno da Silva CA, et al. Anabolic androgenic steroid-induced hypogonadism, a reversible condition in male individuals? A systematic review. *Andrologia*. 2021. PMID: 33887077
  • Blazewicz A, Poplawska M, Daniszewska B, et al. Illegal and falsified medicines self-administrated in not approved post-cycle therapy after the cessation of anabolic-androgenic steroids - qualitative analysis. *Front Chem*. 2025. PMID: 40177353

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本記事は医薬品の個人輸入代行に関する情報提供であり、医師の診断や治療を代替するものではありません。AAS(アナボリックステロイド)は日本国内で承認された医薬品ではなく、使用は完全な自己責任となります。サイクル設計・PCT・血液検査計画について判断に迷う場合は、必ず内分泌専門医・スポーツ医学専門医への相談を優先してください。

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