7つのSARMsの強さと副作用について解説
7つのSARMsの強さと副作用について解説
1.SARMsとは
筋肉や骨など一部の組織のアンドロゲン受容体だけを選択的に刺激しようというコンセプトで開発された実験的な薬剤群です。
もともとは、 サルコペニア(加齢による筋力低下)や、がん・慢性疾患による筋萎縮、骨粗しょう症などに対して、 「副作用を抑えながら筋肉と骨だけを強くしたい」という医療目的で研究が進められてきました。
- 「研究用」として販売されつつ、実態はボディメイク目的での使用が多い
- スポーツではWADAをはじめ各種競技団体でドーピング禁止物質
- 医薬品として正式承認されたものはほぼ無い
「ステロイドより安全な魔法の薬」というイメージが独り歩きしがちですが、
実際は副作用もあるのでそれらを理解して使用することが重要です。
2.7種のSARMsの効果
ここでは、 オスタリン / ACP-105 / リガンドロール(LGD-4033) / LGD-3033 / RAD-140 / YK11 / S23 の7種類を取り上げ、ボディメイクでの「強さ」と「効果の傾向」を整理します。
強さランクは、1 = 最もマイルド / 7 = 最も強力 というイメージです。
実際の効き方は、用量・期間・個体差・製品の中身の正確さで大きく変わります。
| 名称 | 強さ | 効果 |
|---|---|---|
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オスタリン
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1 | 低〜中用量で、除脂肪体重の緩やかな増加や、 疲労感・筋力の改善といった変化が報告されている。 高齢者や病的筋萎縮の臨床試験でも、歩行距離アップなど軽めの機能改善が見られた。 |
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ACP-105
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2 | 動物実験で筋肉量・運動パフォーマンス・骨密度の増加が確認されている。 オスタリンでは物足りない層が「もう一歩強さを求めて」。 |
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リガンドロール
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3 | 明確な除脂肪体重の増加や筋機能の向上が確認されている。 本格的に筋量を増やしたい人がターゲットに。 |
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LGD-3033
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4 | 筋・骨への作用はLGD-4033に近く、 副作用の改善を狙った設計。 「LGD-4033と同等〜やや強め」と見なされることが多い。 |
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RAD-140
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5 | 非常に強い筋肉・骨へのアナボリック作用が示されている。 上級者向けのバルク・リコンプ目的が多い。 |
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YK11
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6 | 筋分解やミオスタチン抑制様の作用が示されている。 かなり強力なアナボリック作用と考えられている。 |
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S23
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7 | 筋量アップ・体脂肪ダウン・骨密度アップを同時にもたらす事ができる。 |
3.SARMsの副作用について
3-1. SARMsに共通する主な副作用
- テストステロンの低下
- 精巣萎縮、精子数の減少、不妊リスク
- 性欲低下や勃起不全、気力の低下
- AST/ALT・γ-GTPの上昇など、薬物性肝障害
- HDL低下・LDL上昇などのコレステロール悪化
- 長期的には動脈硬化〜心筋梗塞・脳卒中リスクの増加
3-2. ステロイドとの違い:エストロゲン&プロラクチン
テストステロンは体内でアロマターゼによりエストロゲン(E2)へ変換されるため、 ステロイドでは
- むくみ・血圧上昇
- 乳首の痛みや女性化乳房(gyno)
- 感情の乱高下
など、高E2(エストロゲン過多)に関連する副作用が起きやすくなります。
一方で、今回取り上げているオスタリン、LGD系、RAD-140、YK11、S23などのSARMsは、 基本的にアロマタイズされない設計であり、 純粋なSARMs単剤であれば、 ステロイドのようにエストロゲンが直接増えて起きる典型的な副作用は起こりにくい と考えられています。
デカやトレンのような19-nor系ステロイドでは、 プロゲステロン受容体などを介してプロラクチン関連のトラブル(ガイノ、性欲低下など)が出やすくなります。
一方で、代表的なSARMsについては、 プロラクチンを直接大きく上げるメカニズムや臨床データはほとんど報告されていません。
そのため、 ステロイドと比べると、プロラクチン由来の副作用は基本的に起こりにくいと考えられます。
まとめると、 純粋なSARMs単剤であれば、ステロイドで代表的なエストロゲン/プロラクチン由来の副作用は基本的に起こりにくい と考えられます。
ただし、 ホルモン軸の抑制・肝障害・脂質異常といった別方向のリスクは十分に存在し、 さらに中身が偽装されている製品ではステロイドと同じ副作用が普通に出る可能性もあります。
4.必要なケア剤と食事管理について
4-1. 肝臓対策:ウルソデオキシコール酸(UDCA)
ウルソデオキシコール酸(UDCA)は、日本でも慢性肝疾患や胆汁うっ滞などに使われる胆汁酸製剤です。
RAD-140やLGD系、YK11、S23など強めのSARMsほど肝負担リスクが高いと考えられるため「肝臓サポート」としてUDCAがよく使用されます。
4-2. 男性ホルモンの回復:クロミッド(クロミフェン)
SARMsによってテストステロンが抑制された後、 クロミッド(クロミフェン)などのSERMを使って回復を促進させます。
これは、視床下部・下垂体のエストロゲン受容体をブロックすることで、 LH/FSH分泌を促し、自前のテストステロン分泌を立ち上げ直す という狙いです。
4-3. コレステロール対策&心血管リスクを下げる「クリーンな食事」
SARMsでは、HDL低下・LDL上昇などコレステロールの悪化が問題になりやすく、 長期的には動脈硬化〜心血管リスクに直結します。
薬よりもまず効くのが、ベタですが「クリーンな食事」です。
- 揚げ物・菓子パン・スナック・ラーメンなど、飽和脂肪+カロリー過多の食事を減らす
- 魚、オリーブオイル、ナッツなど「良質な脂」を意識して摂る
- 野菜・海藻・きのこ類で、食物繊維とミネラルをしっかり確保
- アルコールは控えめにし、連日の深酒を避ける
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