コンテスト2週前(2 weeks out)サイクル調整ガイド|エステル切替・ピーキング・利尿薬危険・カーボロード【2026年版】

コンテスト2週前(2 weeks out)サイクル調整ガイド|エステル切替・ピーキング・利尿薬危険・カーボロード【2026年版】

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結論(3行)

  • ボディビルコンテスト「2週前(2 weeks out)」の本質は、新しい筋量を足す段階ではなく、血中濃度が短いエステル(ピーキング向き持続型)へ切り替わり切っているか/水分・グリコーゲン・ナトリウムの最終調整に体が応答できる状態か をチェックして整える期間になっている。長エステル(テスト・エナンセート/トレン・エナンセート)は2週前で最終投与を済ませ、テスト・プロピオネート、トレン・アセテート、マステロン・プロピオネートといった短エステルEOD(隔日)に主役を渡しておくのが標準。
  • 直前2週は「硬さ・乾き・血管」を狙う層が、マステロン・プロピオネート 100mg/EOD、トレンボロン・アセテート 50-100mg/EOD、ウィンストール経口 40-50mg/日、必要に応じてハロテスチン(フルオキシメステロン) 10-20mg/日を14日以内、という尖った構成に倒す例が多い。増量目的のサイクルをそのまま2週前まで引っ張る運用は推奨されない(水分・E2残存で仕上がりが鈍る)。
  • 利尿薬(フロセミド・スピロノラクトン・HCTZ)はステージ上・直後の死亡事例が報告されている(低カリウム性麻痺・致死性不整脈)。本記事では推奨せず、水分・ナトリウム・カリウムの食事ベース管理を主軸とする。DNP・T3・クレンの最終週ライン入れ替えも同様に高リスクとして整理する。

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1. 「2 weeks out」が意味するもの

ボディビル界隈で言う「2 weeks out」(コンテスト2週前)は、単に「あと14日」というカウントダウンではない。コンディション作りのフェーズ転換ポイントを指す業界用語として使われている。

このタイミングで起きている(あるいは起こすべき)変化は4つある。

1. エステル切替の完了: 長エステル(半減期7-14日)から短エステル(半減期1-3日)へ主役交代が済んでいる 2. 絞り目的の最終化: バルク/リーンバルクの「足す」段階を終え、「削る・尖らせる」段階に入っている 3. 水分とナトリウム操作への準備: 残り14日で水分・グリコーゲン・ナトリウムを動かす計画が立っている 4. 見え方(ベスコン)の検証ループに入る: 鏡・写真・コーチ評価で日々の微調整が回り始める

逆に言えば、2週前で「まだトレン・エナンセートを刺している」「水分管理の方針が決まっていない」状態は、ピーキング設計がそもそも遅れているサインになる。Almeidaらのブラジル競技選手調査(Sports 2023, PMID: 38251285)でも、ピークウィーク前1-2週でのプロトコル変更点として、エステルの短期化、ナトリウム/水分操作、ピークウィーク独自スタックの導入が共通項として挙げられている。

本記事では、コンテスト2週前から当日、翌日リカバリーまでのサイクル調整(=ピーキング)を、エステル選択・用量微調整・スタック構成・水分とナトリウム・栄養・利尿薬の危険性まで通しで整理する。

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2. エステル切替戦略:長エステル → 短エステルへ

2-1. なぜ短エステルに切り替えるのか

長エステル(テスト・エナンセート、トレン・エナンセート、マステロン・エナンセート)は、半減期(血中濃度が半分になるまでの時間)が7-14日。仮にコンテスト前日に1本刺しても、ステージ上では血中濃度がまだ立ち上がりきっていない場合が多い。

逆に短エステル(プロピオネート=半減期約2日、アセテート=半減期約1日)は、刺してから24-48時間で血中ピークに達するため、「ステージ上のピークに合わせて打ち分ける」ことができる。これがピーキングで短エステルが選ばれる本質だ。

加えて、長エステルは芳香化(アロマターゼによるエストラジオール=E2への変換)由来の水分貯留をコントロールしにくい。プロピオネートやアセテートは「効かせ方」を毎回の注射で調整できるため、E2と水分の操作精度が上がる。

2-2. 切替タイミングの目安

長エステルから短エステルへの切替は、コンテスト4-6週前が目安になる。

長エステル(切替前) 最終投与の目安 短エステル(切替後) 主担当領域
テスト・エナンセート 4週前 テスト・プロピオネート 土台のテスト維持
トレン・エナンセート 4-6週前 トレン・アセテート 仕上げ硬化
マステロン・エナンセート 4-6週前 マステロン・プロピオネート 硬さ・乾き

切替時期が遅れると、コンテスト当日に長エステルの残存血中濃度が水分貯留+E2上昇として残り、絞りが甘くなる。

2-3. 切替時の用量再設定

「mg/週」を維持したまま短エステルに置き換えるのが基本だが、半減期の違いで血中濃度カーブが鋭くなる(=山が高くなる)ため、副作用(注射部位痛=PIP、急性のホットフラッシュ、E2の急激な上下)が出やすくなる。切替後1週は様子を見ながら微調整するのが現実的。

詳しい長期サイクル設計はトレンボロン サイクル設計の決定版マステロン サイクル設計の決定版テストE サイクル完全プランを参照。

2-4. 当店在庫の短エステル系

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3. 用量微調整:絞りピーキング vs バルク終盤

「2週前の用量をどうするか」は、その人がコンテストに向けてどのフェーズにいるかで2分される。

3-1. 絞りピーキング(コンテスト目標)

体脂肪が既に絞れていて、最後に「硬さ・乾き・血管」を引き出すフェーズの場合。短エステル中心、E2を低めに、ウィンストールやマステロンで水分を抜く方向。

薬剤 2週前用量 1週前用量 目的
テスト・プロピオネート 50-75mg EOD 50mg EOD or オフ 土台維持(E2上げない)
トレン・アセテート 75-100mg EOD 75mg EOD 硬度・コンディション
マステロン・プロピオネート 100mg EOD 100mg EOD 硬さ・乾き
ウィンストール経口 50mg/日 50mg/日 水分抜き・血管
アリミデックス 0.5mg EOD E2見て調整 E2 15-25 pg/mL帯

3-2. バルク終盤(オフシーズン後半・別大会前段)

体脂肪がまだ落ちきっていない、あるいはコンテストでなく中間目標(撮影・別カテゴリ等)の場合。「2週前」という言葉に引きずられて闇雲に絞りに振ると失速するため、長エステルを継続したまま食事と有酸素で削る選択もある。

ただしこの場合は本記事のピーキング論からは外れるため、サイクル設計は前掲のトレンボロン サイクル設計マステロン サイクル設計を参照されたい。

3-3. 「2週前で増やす」は事故の原因

「最後だから一気に上げる」式の用量倍増は、ピーキング期の失敗パターンとして頻出する。

  • E2が急に上がる → 水分貯留 → 絞りが鈍る
  • アンドロゲン総量増 → 皮脂・ニキビ・赤み(ステージ照明で目立つ)
  • 注射量増 → PIP(注射部位痛)→ ポーズ時の動きが固くなる

2週前は微調整の期間であり、増量設計の期間ではないという整理が現実的。

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4. ハロテスチン(フルオキシメステロン)14日プロトコル

4-1. なぜ「2週前から」なのか

ハロテスチン(FX)は、経口AASの中でも特異的に「短期で硬さ・気分・神経系出力を尖らせる」プロファイルを持つ古典的薬剤。Llewellyn『Anabolics』をはじめとする海外コーチング書籍では、ピーキング専用枠として位置づけられている。

体感が立ち上がるまで5-7日、肝逸脱酵素(ALT/AST)が目に見えて上がるのも1-2週、というタイムウィンドウが「14日以内」に収まりやすい構造になっている。詳細はハロテスチン用量ガイドを参照。

4-2. 14日プロトコル例(報告ベース)

日数 用量 注意
Day 1-3 10mg/日(2分割) 立ち上げ。気分・血圧・睡眠を確認
Day 4-10 20mg/日(2分割) コア期間
Day 11-13 20mg/日 維持(or 当日に向けて30mgまで一時引き上げ) 肝・脂質悪化に注意
Day 14(本番) 朝10-20mg or オフ 体感ピークを当日に当てる

半減期は約9.5時間と短いため、1日2回(朝・夕)に分割するのが標準。

4-3. 副作用・中止判断

  • 肝逸脱酵素(ALT/AST/γ-GTP/ビリルビン)上昇は前提(出ない人を探すほうが難しい)
  • HDLコレステロール急落 → 心血管リスク蓄積
  • 攻撃性・睡眠障害 → 対人業務との両立が難しい
  • 既存の肝疾患・高血圧・心疾患家族歴がある場合は適応外

4週超の使用は文献上明確に避けるべきとされている。「効くなら長く」は通用しない薬剤。

4-4. 当店在庫

ハロテスチン(フルオキシメステロン)単剤は世界的に流通量が限られ、当店では現在欠品中となっている。入荷通知や代替提案はLINEで個別対応:LINEで在庫・代替を聞く

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5. マステロン・プロピオネート EOD投与(直前の硬度作り)

5-1. 役割:E2の「弱め拮抗」と硬さ

マステロン(ドロスタノロン)はDHT(ジヒドロテストステロン)誘導体で、芳香化しない。それだけでなく、SHBG(性ホルモン結合グロブリン)への結合を介してE2の生物学的活性を弱める間接効果を持つとされる。

「アリミデックス(アロマターゼ阻害薬=AI)を増やすほど関節痛・抑うつが増える」というジレンマがピーキング期に出やすいが、マステロンを高めに入れることでAIを増やさずにE2の見え方を抑える運用が可能になる。

5-2. ピーキング期の典型用量

期間 マステロン・P 注射タイミング
6週前-3週前 100mg EOD 月・水・金・日
2週前-当日3日前 100mg EOD 同上
当日2日前 100mg(最終投与) コンテスト2日前
当日 オフ

最終投与をコンテスト2日前に置くことで、ステージ上で短エステルの血中ピークが残る運用になる。

5-3. 副作用と注意

  • AGA(男性型脱毛症)素因がある人は脱毛が加速する(DHT誘導体のため)
  • 前立腺肥大の自覚症状(夜間頻尿)
  • HDL低下(他の経口・注射AASと相加)

詳細はマステロン サイクル設計の決定版

5-4. 商品

マステロン・プロピオネート 100mg×10ml ¥12,000 — 1本でEOD約20回分。2週前-当日2日前で約7-8回投与なので、6週前から走らせる場合は2本想定。

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6. トレンボロン・アセテート EOD投与(脂質燃焼の最終仕上げ)

6-1. なぜ直前期に残すのか

トレン・アセテートは半減期約1日で血中濃度の山が高く谷が深い。ピーキング期に残す理由は3つ。

1. アンドロゲン受容体(AR)結合親和性が高い → 低用量でもコンディションが維持できる 2. コルチゾール受容体拮抗 → 脂肪燃焼が落ちにくい 3. 抜けが早い → ステージ上で「ちょうどピーク」のタイミング設計がしやすい

6-2. ピーキング期の用量(絞り目的)

期間 トレン・A 備考
6週前-3週前 75-100mg EOD コンディション底上げ
2週前 75-100mg EOD 維持
1週前 75mg EOD 副作用が強いなら50mgまで下げる
当日3日前 50-75mg(最終投与)
当日 オフ

「150mg/EOD まで上げる」は上級プロ域でも振り返ると不要だったと総括されがちなレンジ。ピーキングは用量の上限戦ではない

6-3. 副作用と中止判断

  • 寝汗(ナイトスウェット): 寝室を18-20℃に保つ、寝具を吸湿性高いものに変える
  • 不眠: ピーキング最終週は睡眠不足がそのままステージ上の表情に出るため、就寝環境を最優先
  • 攻撃性・易怒性: 対人業務・運転場面と重ねない
  • プロラクチン経由のジネコ素因 → カベルゴリン手元必須

詳しい用量・副作用設計はトレンボロン サイクル設計の決定版を参照。

6-4. 商品

トレンボロン・アセレート 100mg×10ml ¥10,000

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7. ウィンストール経口 40-50mg/日(乾きと血管)

7-1. 役割:水抜きと筋密度残し

ウィンストール(スタノゾロール)は17α-アルキル化(17αAA=肝代謝を回避するための分子修飾)経口AAS。SHBG(性ホルモン結合グロブリン)を強く下げる作用があり、結果として遊離テストステロン・遊離トレンの「効き」が増す運用がピーキング期によく組まれる。

さらに、利尿に近い水分排出の体感(関節液=滑液も減るため関節痛のリスクあり)があり、コンテスト直前の「皮膚が薄く張った見え方」「血管浮き出し」を作る方向で機能する。

7-2. ピーキング期用量

期間 ウィンストール 注意
4週前-1週前 40-50mg/日(2-3分割) 肝サポート併用
1週前-当日2日前 50mg/日 関節痛悪化なら25-30mgへ減量
当日1日前-当日 オフ or 当日朝25mg 体感優先で個別判断

7-3. 副作用

  • 関節痛(滑液減少)
  • HDL急落
  • 肝逸脱酵素上昇
  • アキレス腱断裂リスク(ピーキング期の重量挙げで報告例あり)

サイクル前から関節に違和感がある人、過去に腱を痛めたことがある人は外す判断が現実的。

7-4. 商品

ピーキング期に足りる用量で組むなら50mg錠が便利。

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8. 利尿薬の危険性:推奨しない理由

8-1. ステージ上死亡事例の存在

ボディビル史上、コンテスト直前・ステージ上・ステージ直後の利尿薬関連死亡事例は複数報告されている。一般に語り継がれているのは、Mohammed Benaziza(1992年)、Andreas Münzer(1996年)など。後者は剖検で多臓器不全(肝・腎・電解質異常)が確認されている。

学術文献ではMayrらが、プロボディビルダーがフロセミド(ループ利尿薬)で低カリウム血症性麻痺を起こした症例を報告している(Am J Emerg Med 2012, PMID: 21871759)。Espositoらの法医学レビューでも、AAS乱用者の死亡剖検で電解質異常・心筋肥大・致死性不整脈の所見が共通項として挙げられている(Diagnostics 2021, PMID: 34441242)。

8-2. なぜ事故が起きるのか

利尿薬 機序 主な事故経路
フロセミド(ラシックス) ループ利尿(NKCC2阻害) 急速な低カリウム → 致死性不整脈
HCTZ(ヒドロクロロチアジド) サイアザイド系 低ナトリウム・低カリウム
スピロノラクトン カリウム保持(MR拮抗) 一見安全だが高カリウム/AAS拮抗で硬さ落ち

コンテスト直前のステロイド+脱水状態+電解質異常という組み合わせが、致死性不整脈・横紋筋融解・腎不全のリスクを階段状に押し上げる。AASがすでに心筋肥大(Baggish AL et al. *Circulation* 2017, PMID: 28533317)・脂質悪化を起こしている状態に、利尿薬で電解質を一気に動かす運用は、上級プロでもコントロールが難しい領域とされる。

8-3. 本記事の立場:推奨しない

本記事では利尿薬の使用を推奨しない。「使う場合のプロトコル」を提示することは、結果として安全側に倒せない読者を引き寄せるリスクがある。水抜きは食事(ナトリウム・カリウム・水分)操作で行い、利尿薬に頼らないピーキング設計を選ぶのが、現代の競技選手が公言するアプローチに近い。

Almeidaらの調査(PMID: 38251285)でも、ブラジル競技選手のピークウィークで利尿薬の使用は記録されているものの、「使用しない選手のほうが健康被害が少なくコンディションも崩れにくい」と総括されている。

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9. 水分・ナトリウム・カリウムの食事ベース管理

9-1. 基本方針:急激に動かさない

ピーキング期の水分・電解質操作は、「ステージ前日に一気に動かす」のではなく、2週間かけてゆるやかに行うのが事故率を下げる原則。

9-2. 14日プロトコル例

日数 水分 ナトリウム カリウム 炭水化物(後述)
Day 1-7(2週前-1週前) 4-5L/日 通常+α 通常 通常
Day 8-10 5-6L/日(増量) 通常維持 通常 低め
Day 11-12 4L/日 漸減 維持 低め(枯渇期)
Day 13(前日) 1.5-2L/日 最低限 通常 カーボロード開始
Day 14(当日) 喉が渇いたら少量 ピンチ程度 通常 微調整

「水を急に切ると体が逆に水を抱え込む」という生理学的な反応(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の急性活性化)があるため、ナトリウムを先に動かしてから水を絞るのが現代的な順序。

9-3. ナトリウム操作の落とし穴

「コンテスト前にナトリウムをゼロにする」運用は、低ナトリウム血症(吐き気・頭痛・痙攣)を招きうる。「いつもより少し低め」程度に留め、ステージ直前にピンチ程度足す方向のほうが事故が少ない。

9-4. カリウムを切らない

カリウムを下げるのは原則NG。低カリウム性麻痺(ステージ上で動けなくなる事例の多くがこれ)に直結する。バナナ、アボカド、じゃがいも、ほうれん草など、カリウム源を最後まで残す。

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10. カーボロード(炭水化物の枯渇と充填)

10-1. 機序:グリコーゲン超回復

筋肉のグリコーゲン(筋肉に蓄えられる炭水化物の貯蔵形)は、一度枯渇させてから多めに摂ることで、ベースラインより多く戻る現象(=超回復、supercompensation)が知られている。Jensenらは、グリコーゲン超回復は個々のグリコーゲン粒子のサイズ増加ではなく、粒子数の増加で起きると報告している(Exp Physiol 2021, PMID: 33675088)。

ステージ上の「筋肉が張った見え方」「血管が浮く張力」は、このグリコーゲン充填と細胞内水分(intramyocellular water)が作る。

10-2. 14日プロトコル例

日数 炭水化物量(70kg選手目安) 狙い
Day 1-9(通常) 体重×2-3g ベースライン維持
Day 10-12(枯渇期) 体重×0.5-1g グリコーゲン枯渇
Day 13(前日カーボロード前半) 体重×4-6g 充填開始
Day 14(当日朝〜直前) 体重×2g + ステージ前少量 微調整

10-3. 失敗パターン

  • カーボロードしすぎ → 翌朝水っぽく膨らむ: ナトリウム操作と整合していない
  • カーボロード不足 → ステージで凹む: 枯渇期を取りすぎた
  • 当日朝に大量摂取 → 消化が追いつかず膨満: 前日に終わらせる

ピーキング期の食事は個人差が極端に大きい(体重・除脂肪量・代謝速度・前回大会のデータ)ため、過去のステージ写真とその時の食事ログを突き合わせて学習する以外の正解はない。

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11. トレーニング強度の最終調整

11-1. 大原則:壊さない

2週前からはトレーニングの目的が「筋量を伸ばす」ではなく「コンディションを維持しながら整える」に変わる。

  • 1RM狙いの高重量挙上 → 関節故障・筋肉痛の長引きでステージに影響
  • 高ボリューム → 回復が間に合わない
  • 全身を「軽め・パンプ重視」「分割を細かく回す」方向に切り替え

11-2. 14日プロトコル例

日数 トレ内容 有酸素
Day 1-7(2週前) 通常の70-80%重量、ボリューム維持 30-45分/日
Day 8-10 60-70%重量、ボリューム微減 30分/日
Day 11-12 パンプ重視、関節保護 20-30分/日
Day 13(前日) 軽い全身パンプ or 完全オフ なし or 軽いウォーキング
Day 14(当日) バックステージでパンプアップ(後述) なし

11-3. 怪我リスクが上がる理由

ウィンストールやトレンによる関節・腱への影響、グリコーゲン枯渇期の筋出力低下、減量末期の睡眠不足が重なり、ピーキング期は通常期より怪我率が上がる期間。「攻めの最後の追い込み」は事故になりやすい。

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12. DNP・T3・クレンの「最終週ライン」と本記事の立場

12-1. DNP(2,4-ジニトロフェノール)

ミトコンドリア脱共役剤で極めて強力な脂肪燃焼作用を持つが、致死量と有効量が近い(過熱・多臓器不全による死亡事例が国内外で複数報告)。ピーキング期に新規導入すべき薬剤ではない。本記事では推奨しない。

12-2. T3(リオサイロニン)

甲状腺ホルモンT3製剤。減量期スタックとしてカット中盤に使われることがあるが、ピーキング期の最終週で増量する運用は心血管リスクが急増する。AAS+T3+カフェイン+ストレス(コンテスト緊張)+脱水の組み合わせは、頻脈・心房細動・低カリウムの相加リスクが大きい。T3は最終週前にテーパリング(減量)で抜くのが原則

12-3. クレンブテロール

β2作動薬。ピーキング期に使う層もあるが、心拍上昇・電解質異常・震えがステージ上の表情・ポーズの精度を下げるリスクがある。利尿薬や脱水と重なると事故率が上がるため、本記事では「最終週は外す方向」を推奨する。

12-4. 本記事の整理

DNP・T3・クレンの3剤は、いずれもピーキング期に新規導入や増量する性質の薬剤ではない。減量期のどこかで使うとしても、最終2週前には抜くか維持(増量しない)を原則とする。AASによる心筋肥大(PMID: 28533317)に上記薬剤の心血管負荷が乗ると、致死性不整脈リスクが指数的に上がる。

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13. コンテスト当日のピークアップ運用

13-1. 当日朝のチェック項目

項目 理想状態
体重 計画値±0.5kg
体感(肌の張り) やや薄め(まだカーボ余地あり)
血管 腕・胸に浮いている
お腹 凹凸が出ている
心拍 安静時60-80bpm
気分 過度な興奮・抑うつなし

ここから当日の食事・水分・パンプアップを微調整していく。

13-2. バックステージでのパンプアップ

ステージ直前の20-30分で、軽い負荷の高レップ(チューブ・軽ダンベル・腕立て・自重)で狙う部位に血流を集める

  • 上半身: ラットプル様動作・腕立て・チューブカール
  • 肩・腕: ラテラル・トライセプス押し
  • 脚: 軽いスクワット・カーフレイズ
  • 「やりすぎない」: ステージで攣る/疲れた表情になる

13-3. ポージング前の最終チェック

  • 鏡で左右対称・お腹の凹凸を最終確認
  • リップグロスやオイル(コンテスト規定範囲)
  • ステージ照明下の見え方リハーサル

13-4. ステージ上の振る舞い

呼吸・表情・ポーズ移行のスムーズさは、AAS用量より普段の練習量で決まる。ピーキング期の最終週は、新しいポージング技を入れない。

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14. コンテスト翌日以降のリカバリー

14-1. 食事:いきなり戻さない

ピーキング末期の低水分・低糖質状態から普通食に戻す際、1日で戻すと水分が一気に細胞外に逃げて急激な体重増加・むくみを起こす。3-5日かけて段階的に戻す。

14-2. PCT(サイクル後の回復療法)

ピーキングサイクルが終わったら、HPTA(視床下部-下垂体-性腺軸)の回復のためにPCTを組む。標準はクロミフェン(クロミッド)+タモキシフェン(ノルバデックス)+必要に応じてHCG。

期間 クロミッド タモキシフェン
Week 1-2 50mg/日 40mg/日
Week 3-4 25mg/日 20mg/日
Week 5-6 12.5mg/日 (オフ)

短エステル中心のサイクルなら最終投与から3-5日後にPCT開始(エステル別の詳細はトレンボロン サイクル設計を参照)。

14-3. 採血の推奨タイミング

  • コンテスト直後: 緊急的に異常値を見たい場合のみ(電解質・腎機能)
  • 1週間後: ALT/AST/HDL/LDL/血圧/血算
  • PCT終了4週後: テスト・E2・LH/FSH(回復確認)

14-4. 心理面のクラッシュ

コンテスト後の脱力感・抑うつ気分は、AAS血中濃度低下+目標達成後のドーパミン低下+体重戻しで起きる典型的な反応。「数週間で戻る」前提で予定を組み、重要な意思決定はこの時期にしない。

14-5. 関連商品(PCT本体)

AI(アロマターゼ阻害薬)の選び方はレトロゾール vs アナストロゾール vs エキセメスタンも参考。

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FAQ

Q1. 2週前からハロテスチンを入れるか入れないかで仕上がりはどれくらい変わる?

A. 「100点が101点になる薬」というのが海外コーチング書籍に共通する評価。80点を95点に押し上げる薬ではない。基礎(食事・睡眠・トレ・ベース注射剤管理)が完成していない段階で導入する合理性は小さい。詳細はハロテスチン用量ガイド

Q2. 利尿薬を使わずに「水抜き」をどこまで詰められるか?

A. 食事ベース(ナトリウム・カリウム・水分・炭水化物の操作)で「皮膚を薄く張る」「血管を浮かせる」までは到達可能、というのが現代の競技選手の標準的な回答。致死性不整脈リスクを抱えてまで利尿薬で追加5%を取りに行くかは、本人の競技目標と健康リスクのトレードオフ。本記事は推奨しない側に立つ。

Q3. 2週前で長エステルがまだ抜けきっていない場合は?

A. 短エステルでオーバーラップさせる運用が現実的。テスト・エナンセートの最終投与が3週前であれば、2週前から既にテスト・プロピオネートを始めて、合計の血中濃度が「いつものmg/週」を大きく超えないように調整する。E2が上がりやすいので、アリミデックス用量を一時的に増やす。

Q4. ウィンストールとハロテスチンを同時に走らせて大丈夫?

A. 両方とも17α-アルキル化経口AASで肝・脂質負荷が相加する。同時併用は肝逸脱酵素・HDLが急速に悪化するため、コーチング書籍では避けることが推奨される。どちらかに絞る、あるいはハロテスチン期間とウィンストール期間を時間軸でずらす設計が安全側。

Q5. ピーキング期にE2はどのレンジを目指すか?

A. 通常期は20-40 pg/mL帯(超高感度ECLIA法基準)が標準だが、ピーキング期は15-25 pg/mLに少し下げて水分貯留を抑える運用が多い。10未満まで下げると関節痛・抑うつ・性欲低下が一気に出るため、AIの「効かせすぎ」は事故になる。

Q6. テスト・プロピオネートをコンテスト当日に刺すべき?

A. プロピオネートの血中ピークは24-48時間後なので、当日刺しても遅い。当日2-3日前を最終投与タイミングにして、ステージ上に血中濃度が乗っている状態を作るのが現実的。

Q7. PCT開始は最終投与の何日後?

A. テスト・プロピオネート/トレン・アセテート/マステロン・プロピオネート中心であれば、最終投与から3-5日後にPCT開始。短エステル中心のピーキングはPCT開始タイミングがシンプルになる利点がある。

Q8. コンテスト後にすぐ次のサイクルを組んでいい?

A. 推奨されない。最低でも前回サイクルと同じ期間のオフ(または TRTレンジのみのクルーズ)を取り、ホルモン値・脂質・血圧が完全にベースラインに戻ったことを採血で確認してから次サイクルに入るのが標準。

Q9. ピーキング期の睡眠不足対策は?

A. トレン・ハロテスチン・ウィンストールの神経系作用と緊張で睡眠が浅くなりやすい。寝室温度18-20℃、メラトニン低用量、就寝3時間前カフェイン制限、就寝1時間前に電子機器オフ、といった環境整備が現実的。睡眠導入剤(ベンゾ系)はステージ上の判断鈍化リスクがあり推奨されない。

Q10. アマチュア(初出場)でこの記事のプロトコルをそのまま使うべき?

A. 推奨されない。トレン・ハロテスチン・ウィンストールの組み合わせは上級向けで、初回サイクルやアマチュア初出場で組むには副作用管理の負荷が高すぎる。アマチュア初出場であれば、テスト・プロピオネート+マステロン・プロピオネート+ウィンストール程度の3点セットでコンディションを整え、ハロテスチンとトレンは2-3シーズン経験を積んでから導入する設計が現実的。

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15. 装備チェックリスト(2週前スタート時点)

ピーキング開始時点で揃えておくべき装備リスト。

15-1. 薬剤側

  • [ ] 短エステル(テスト・プロピオネート、マステロン・プロピオネート、トレン・アセテート)
  • [ ] 経口(ウィンストール、必要ならハロテスチン)
  • [ ] アリミデックス(E2管理)
  • [ ] カベルゴリン(プロラクチン管理、トレン使用時)
  • [ ] 肝サポート(TUDCA等)
  • [ ] PCT本体(クロミッド・ノルバデックス・必要ならHCG)

15-2. 計測側

  • [ ] 家庭用血圧計
  • [ ] 体重計(できれば体組成計)
  • [ ] 心拍計(安静時)
  • [ ] 体温計
  • [ ] 採血予約(2週前・1週前・コンテスト翌週・PCT終了4週後)

15-3. 環境側

  • [ ] 寝室温度18-20℃を保てる空調
  • [ ] 同居家族・パートナーへの「最終2週は神経が立ちやすい」事前共有
  • [ ] 仕事・対人業務の最終週負荷軽減
  • [ ] ステージ衣装・タンニング・小物の準備完了

15-4. 中止判断ライン(これが出たら即やめる)

  • 安静時心拍 100bpm 超が3日以上
  • 収縮期血圧 160mmHg 超 または 拡張期 100mmHg 超
  • 黄疸、濃褐色尿、淡色便
  • 動悸・胸痛・失神
  • 暴力衝動・希死念慮
  • ALT/AST が基準上限の5倍超
  • 低カリウム症状(脱力・痙攣・麻痺) — ステージを諦める判断

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16. 参考文献

  • Almeida FN, da Cunha Nascimento DD, Moura RF, Peixoto DL, Moraes WMAM, Schoenfeld BJ, Neto IVS, Prestes J. Training, Pharmacological Ergogenic Aids, Dehydration, and Nutrition Strategies during a Peak Week in Competitive Brazilian Bodybuilders. *Sports (Basel).* 2023. PMID: 38251285. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38251285/
  • Jensen R, Ørtenblad N, Stausholm MH, et al. Glycogen supercompensation is due to increased number, not size, of glycogen particles in human skeletal muscle. *Experimental Physiology.* 2021. PMID: 33675088. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33675088/
  • Baggish AL, Weiner RB, Kanayama G, Hudson JI, Lu MT, Hoffmann U, Pope HG Jr. Cardiovascular Toxicity of Illicit Anabolic-Androgenic Steroid Use. *Circulation.* 2017. PMID: 28533317. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28533317/
  • Pope HG Jr, Wood RI, Rogol A, Nyberg F, Bowers L, Bhasin S. Adverse health consequences of performance-enhancing drugs: an Endocrine Society scientific statement. *Endocrine Reviews.* 2014. PMID: 24423981. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24423981/
  • Mayr FB, Domanovits H, Laggner AN. Hypokalemic paralysis in a professional bodybuilder. *American Journal of Emergency Medicine.* 2012. PMID: 21871759. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21871759/
  • Esposito M, Licciardello G, Privitera F, et al. Forensic Post-Mortem Investigation in AAS Abusers: Investigative Diagnostic Protocol. A Systematic Review. *Diagnostics (Basel).* 2021. PMID: 34441242. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34441242/

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免責事項

本記事は医薬品個人輸入代行業者が提供する情報提供であり、医療行為・診断・処方を代替するものではありません。アナボリックステロイドの使用は健康リスクを伴います。利尿薬の使用は致死性不整脈・電解質異常による死亡事例が報告されており、本記事では推奨していません。日本国内で承認されていない医薬品を含むため、使用は自己責任となり、専門医の診察を受けることを強く推奨します。本記事の対象は成人男性であり、未成年・競技アスリート(WADA管轄競技)・妊娠可能年齢女性の使用は想定していません。WADA禁止表掲載薬剤を含むため、競技登録のあるアスリートは使用しないでください。

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