IGF-1(LR3/DES) vs HGH(ソマトロピン)|成長軸の上下流2剤・直接効果vs全身刺激・選び方【2026年版】
この記事で分かること
「HGH(成長ホルモン)とIGF-1(LR3とかDES)って結局何が違うの? 両方買う必要あるの? どっちか1本でいいなら、どっちが先?」 — このあたりはHGH関連を初めて触る人が真っ先にぶつかる疑問で、実際に検索しても解説が散らかっていてピンとこない。両方とも「成長軸」に関わる薬なのは確かだが、効き方の階層が違う。
ここで整理するのは、HGHとIGF-1の生理学的な関係(上流と下流の関係)、それぞれが体感として何に効くか、用量と注射タイミングがどう違うか、コストと現実的な運用差、副作用とリスクの傾向の違い。読み終わる頃には「自分の目的(バルク? カット? リカバリ? 抗加齢?)に対してどっちを選ぶべきか、または両方を組むべきか」が判断できるようになる。
20年やっている中の人とジム仲間の経験、添付文書、ヒトを対象にした臨床試験(主に成人GH分泌不全症の補充療法データ)を踏まえて、現場で本当に役に立つ違いに絞って書いた。
結論先出し
ざっくり言うと、HGHは「上流」、IGF-1(LR3/DES)は「下流」。HGHは肝臓と全身の組織を刺激してIGF-1を体に作らせる薬で、効果は全身に広く緩やかに出る。IGF-1製剤は最終効果物質(成長因子)を直接補う薬で、効き方が強く速く、ピンポイント(LR3は全身、DESは局所注射部位)に出る。バルクと長期コンディショニング、抗加齢にはHGHが第一選択。短期での筋密度アップやピンポイント部位の増強にはIGF-1。両方を重ねるとシナジーは出るが、低血糖と腫瘍系のリスクが跳ねるので採血モニタリングが必須。1本だけ選ぶなら、長期で走らせるなら間違いなくHGH。短期集中の特殊用途ならIGF-1という割り振りになる。
HGHとIGF-1:生理学的な関係を10分で理解する
上流のHGH、下流のIGF-1
体の中では、まず脳の下垂体前葉からHGH(成長ホルモン、ソマトロピン)が拍動的に分泌される。HGHは血流に乗って肝臓に届き、肝臓のGHレセプターを介してIGF-1(Insulin-like Growth Factor 1、インスリン様成長因子1)を産生・分泌させる。HGH自身も筋肉や脂肪組織に直接作用するが、筋肥大やリカバリに関わる代表的な作用の多くは、IGF-1を経由した「下流」の効果。
つまりHGHを打つと、自分の体内でIGF-1が増えるという二段階構造になっている。一方、IGF-1製剤を直接打てば、最終効果物質を体内に注入する形になり、肝臓を経由しない分、効きが速くて強い。
LR3とDESの違い
外部から打つIGF-1製剤には主に2種類ある。
IGF-1 LR3(Long R3 IGF-1): 構造を改変して半減期を約20-30時間に延ばしたもの。1日1回の注射で全身性に効かせる。バルク・リカバリ用途のメイン。
IGF-1 DES(des(1-3) IGF-1): N末端の3アミノ酸を削った短縮型。半減期は20-30分と極端に短く、結合タンパクから逃れて活性が高い。注射した部位の局所組織に強く効く性質があるため、ピンポイント部位の筋増強(肩・上腕など)に使われる。
効き方の体感差
HGH 4IU/日を3ヶ月続けたときに出る体感(肌・睡眠・関節・腱・全身のリカバリ)と、IGF-1 LR3 50mcg/日を4週続けたときに出る体感(筋膨らみ・パンプの持続・特定部位の増量)はかなり質感が違う。HGHは「全身の質が底上げされる遅効性の薬」、IGF-1は「特定の組織にぐっと入ってくる速効性の薬」と理解しておくと使い分けやすい。
効果と用途の比較表
HGHが向いている目的
- 長期(16-24週)のオフ期バルク
- 全身の脂肪燃焼+筋質改善
- 腱・関節のリカバリ強化
- 抗加齢(肌・睡眠・体力底上げ)
- AAS(アナボリックステロイド)サイクルの土台補強
IGF-1 LR3が向いている目的
- 短期(4-6週)集中で筋肥大を狙うブロック
- AASサイクルの後半に重ねて筋密度を上げる用途
- HGHのコストが負担になるが筋肥大効果は欲しい場合の代替
- リカバリ加速
IGF-1 DESが向いている目的
- 特定部位(腕・肩・カーフ)の局所増強
- パンプアップ目的の使用前注射
- 弱点部位の集中ブロック(他剤と組み合わせて4-6週)
用量レンジ早見表
- HGH:1日2-6IU(目的により変動、皮下注射)
- IGF-1 LR3:1日40-80mcg(全身性、皮下注射)
- IGF-1 DES:1日50-150mcg(局所、筋肉注射 — 効かせたい部位に直接)
注射の運用差
HGHの注射
皮下注射(SC)で腹部・太もも・上腕外側のいずれか。タイミングは朝の空腹時、トレ後、就寝前のいずれか。1日1回または2回分割。
IGF-1 LR3の注射
皮下注射でHGHと同じ部位。1日1回、トレ前30-60分または食後30分以内に打つ運用が多い。半減期が20-30時間あるので、毎日同じ時間で構わない。
IGF-1 DESの注射
筋肉注射(IM)で、効かせたい部位の筋腹に直接打つ。例えば左右の上腕二頭筋を増強したいなら、それぞれの筋腹に分けて打つ。半減期が短いため、トレ直前(30分前)に打って、その日のセッションで使う流れが基本。
コスト感の違い
HGHは1日4IUで運用すると、10IUバイアル10本のセットを月1本ペースで消費する。IGF-1 LR3は1mgで1mgあたり1000mcg含まれるので、1日60mcgなら1mg = 約16-17日分。月コストはHGH 4IU継続より抑えられることが多い。ただしHGHとIGF-1の両方をフルセットで回すと月コストはかなり大きくなる。
副作用とリスクの違い
HGHの主な副作用
- むくみ(顔・指先)
- 手根管症候群(手のしびれ)
- 関節のこわばり・痛み
- インスリン抵抗性の上昇・空腹時血糖上昇
- 長期使用での内臓肥大(GHガット)
- 甲状腺機能への影響(TSH変動)
これらは用量依存性が高く、2IU以下ならほとんど問題にならないが、6IU以上で頻度と強度が目立ってくる。
IGF-1の主な副作用
- 低血糖(特にDES、LR3でも食事タイミングを外すと出る)
- 注射部位の局所反応(DESは特に局所注射のため出やすい)
- IGF-1値の急上昇による細胞増殖系の理論的リスク
- 長期高用量での心肥大の懸念
低血糖はIGF-1運用で最も注意すべき副作用。打つ前後30分以内に必ず糖質を摂ること、夜間就寝前のIGF-1注射は避けること、ブドウ糖タブレットを手元に置くことが基本ルール。
モニタリング項目の違い
HGH使用中は空腹時血糖・HbA1c・IGF-1・TSHを定期的にフォロー。IGF-1製剤使用中は空腹時血糖と低血糖症状の自覚、IGF-1血中濃度を確認。両方併用なら全項目を採血で見る。
どっちを選ぶか:目的別の判断
オフ期に長期でデカくしたい
HGH 4-6IU/日を16-24週。AAS(テストステロン・エナンセートやデカ・デュラボリン)を土台にしてHGHを重ねるのが王道。IGF-1 LR3を後半6-8週に重ねるとさらに伸びる。
減量期に質を保ちたい
HGH 2-4IU/日を減量全期間。IGF-1は基本不要。減量末期に筋密度を上げたい場合のみ、IGF-1 LR3を最後の4週で乗せる選択肢はある。
弱点部位を集中強化したい
IGF-1 DES 50-100mcgをトレ直前に該当部位へ筋注。4-6週の短期ブロックで使う。HGHを併用するとシナジーは出る。
コスト最優先で1本だけ選ぶ
長期運用ならHGH、短期4-6週なら IGF-1 LR3。月コストはほぼ同等か、IGF-1の方が抑えられる場合もある。
抗加齢・コンディショニングが主目的
迷わずHGH 1.5-2IU/日。IGF-1製剤は抗加齢用途には向かない。
両方組むときの実例
16週オフ期サイクルの例
- 1-16週:テストステロン・エナンセート 500mg/週
- 1-16週:HGH 4IU/日(朝起き抜け)
- 9-14週:IGF-1 LR3 60mcg/日(食後30分)
- 12-15週:アロマターゼ阻害剤(エストロゲン抑制薬)を必要量
採血は0週・8週・16週・PCT(ポストサイクルセラピー、サイクル後の回復期)後の4回が最低ライン。
注意点
HGHとIGF-1を両方走らせるとIGF-1血中濃度が大きく上がる。基準上限の2倍を超えるようなら用量を下げる判断を。低血糖の自覚症状(冷や汗・手の震え・空腹感の異常)が出たら即糖質補給。
よくある質問(FAQ)
Q1. HGHとIGF-1、効きが速いのはどっち?
A. IGF-1の方が圧倒的に速い。LR3で2-3日、DESで当日のトレで体感できる。HGHは4-8週かけてじわじわ効いてくる。
Q2. 1本だけ選ぶならどっち?
A. 長期で走らせるなら(16週以上)HGH。短期4-6週なら IGF-1 LR3。抗加齢ならHGH一択。
Q3. 両方やると倍効きますか?
A. 倍にはならないがシナジーは出る。代わりに低血糖と細胞増殖系のリスクは確実に上がる。採血モニタリングが前提。
Q4. IGF-1 LR3とDESを両方使う意味は?
A. 限定的。LR3で全身性に底上げしながら、DESで弱点部位を局所増強する組み方は理論上ありだが、低血糖リスクが高くなり、コストも嵩む。普通はどちらか片方を選ぶ。
Q5. PCT中に使ってもいいですか?
A. HGHはPCT中も継続して構わない。IGF-1も継続自体は問題ない。ただしPCT中は血糖管理に余裕が少ない人もいるので、低血糖症状には普段以上に注意。
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