プリモボラン(メテノロン) vs マステロン(ドロスタノロン)|DHT派生2剤比較・LBM/質感・経口注射・適性差【2026年版】
この記事で分かること
「プリモボラン(メテノロン)とマステロン(ドロスタノロン)って何が違うの? どっちもDHT派生でカット用って書いてあるけど、選び分けの基準が分からない」 — これはAAS(アナボリック・アンドロジェニック・ステロイド、いわゆる注射打ち薬)を複数年使い始めたあたりで多くの人がぶつかる疑問。両者ともDHT(ジヒドロテストステロン)由来の硬い質感を出すAASで、コンテストプレップやカット期に好まれる「質系の2剤」として並んで語られるが、実際の作用プロファイルは結構違う。
ここでは、メテノロンとドロスタノロンの構造・作用・効果・副作用・用量・使い分けを、できるだけ実用的に整理する。LBM(除脂肪体重)維持と「乾いた質感」「硬さ」のどちらをどっち得意とするか、経口製剤と注射製剤の違い、女性での使用適性、コスト面の差、サイクル組み立てでの優先順位 — このあたりを読み終わると判断できるようになる。
20年やっている中の人とジム仲間の経験、各製剤の添付文書情報(海外承認時資料)、ヒトでのAAS関連の文献を踏まえて、現場で実際に役立つ違いに絞って書く。
結論先出し
ざっくり言うと、プリモボラン(メテノロン)は「LBMを淡々と維持・向上させる、副作用が穏やかなマイルドAAS」。マステロン(ドロスタノロン)は「DHT作用を強めに出して、乾いた硬い見た目を作るアンドロジェン強めの質感系AAS」。LBM温存とサイクル全期間の地味な底上げにはプリモボラン、コンテスト直前4-8週の見た目仕上げ・硬さ・抗エストロゲン作用には マステロン。脱毛や前立腺・皮脂などのDHT副作用が気になるならプリモボラン優先。コンテスト用途の質感アップが最優先ならマステロン優先。コストはマステロンが圧倒的に安い。プリモボランは経口(アセテート)と注射(エナンセート)の両方があり、マステロンは注射(プロピオネート/エナンセート)のみが現実的。両方をテストステロンと組み合わせて使うこともある。
出自と構造の違い
プリモボラン(メテノロン)とは
メテノロン(methenolone)は1962年に開発されたAASで、化学的にはDHT骨格にメチル基(1位)を加えた構造。経口形の酢酸エステル(メテノロン・アセテート)と、注射形のエナンセートエステル(メテノロン・エナンセート)の2形態がある。歴史的に欧州で承認薬として乳がん補助療法・低栄養状態などに使われていた経緯があり、ヒトでの安全性データが比較的ある(現在はほぼ承認取り消し)。
マステロン(ドロスタノロン)とは
ドロスタノロン(drostanolone)は1959年に開発されたAASで、DHT骨格に2位メチル基を加えた構造。プロピオネートエステル(マステロン・プロピオネート)とエナンセートエステル(マステロン・エナンセート)が一般的。歴史的に乳がんの治療補助で使われた経緯がある。
DHT派生という共通点
両者ともDHT派生で、これは以下を意味する。
- アロマターゼ(エストロゲンを作る酵素)で芳香化されない → エストロゲン副作用(女性化乳房・水分貯留)が出にくい
- アンドロゲン受容体に直接結合 → 質感・硬さ系の効果が出やすい
- 5α還元酵素の影響を受けない構造 → DHT関連副作用(脱毛・前立腺・皮脂)はAAS自体の作用として出る
ここまでは似ている。違いは「アンドロジェニックの強さ」と「全身作用のバランス」にある。
効果の違い
プリモボランの効果プロファイル
- アナボリック作用:中等度
- アンドロジェニック作用:弱め
- LBM(除脂肪体重)維持:得意
- 筋肥大の絶対量:控えめ
- 「見た目仕上げ」効果:穏やか
- リカバリ感:良好
- 体感:派手さはなく、淡々と質を底上げするタイプ
長期サイクル(12-16週)の全期間に組み込んで、テストステロンの地味な補助役として使うのが王道。
マステロンの効果プロファイル
- アナボリック作用:中等度(プリモより少し強めとされる)
- アンドロジェニック作用:中等度〜強め
- 「乾いた硬さ」効果:得意
- 利尿様効果(エストロゲン抑制と水分貯留低下):明確
- 抗エストロゲン作用:アロマターゼ阻害ではないが、エストロゲン受容体経由でブロック作用がある
- 体感:打って数週で「絞り感」「乾き感」が出やすい
短期(4-8週)のコンテスト前ブロックや、サイクル後半で見た目を仕上げる用途。
どちらが筋肥大するか
純粋な筋肥大量なら、テストステロンや他の主役級AASに比べてどちらも控えめ。プリモボランはLBM維持寄り、マステロンは「見た目の質」寄り。両者とも「主役を張るタイプ」ではなく「主役を引き立てる質系」と覚えると使い分けやすい。
副作用の違い
共通する副作用(DHT派生として)
- AGA(男性型脱毛症)の悪化:遺伝的素因がある人で目立つ
- 皮脂・ニキビ:DHT作用として出る
- 攻撃性・闘争性の増加:アンドロジェニック作用として出る
- 前立腺関連症状:長期高用量で要注意
- 脂質プロファイル悪化(HDL低下、LDL上昇)
プリモボラン固有
- アンドロジェニック作用が弱めなので、AGA/皮脂/前立腺の副作用は同等用量でマステロンより穏やかに出る
- 経口製剤(アセテート)は肝毒性が中等度ある(17α-アルキル化に近い構造)。注射(エナンセート)は肝負担が小さい
- 鉄欠乏性貧血のような血液パラメータ変動の報告がある(高用量・長期)
マステロン固有
- アンドロジェニック副作用は同等用量でプリモより強く出やすい(脱毛・皮脂・攻撃性)
- 17α-アルキル化されていないため経口形は実用的でない
- エストロゲン抑制作用が強いため、サイクル中のE2(エストラジオール、エストロゲンの主要なもの)が低下しすぎる懸念。テストステロン併用時に E2が必要なため、マステロン単独や高用量併用ではE2低下による関節痛・性欲低下が出ることがある
- 利尿様効果が強いので脱水リスクに注意
女性での使用
プリモボランは女性のAAS使用で「比較的副作用が穏やか」な選択肢として歴史的に挙げられてきた。25-50mg/週の低用量で4-6週の短期サイクルが現実的。それでも声の低音化・男性化リスクはある。
マステロンは女性用途では使いにくい。アンドロジェニック作用が強く、男性化リスクが高い。コンテスト前の極短期ブロックで使う場合もあるが、リスクが大きい。
経口と注射の違い
プリモボランの経口(アセテート)
メテノロン・アセテート錠剤、25-50mg/錠が一般的。1日50-100mgで使用。半減期が短いので1日2-3回分割。経口便利だが、肝負担を考慮して4-6週以内の短期ブロックが現実的。
プリモボランの注射(エナンセート)
メテノロン・エナンセート 100-200mg/mL のオイル製剤。週400-700mg(中級者)が標準レンジ。半減期は約7-9日なので、週1-2回注射で安定する。長期サイクル向き。
マステロンの注射(プロピオネート)
ドロスタノロン・プロピオネート 100mg/mLが標準。半減期約2日と短いので、隔日または週3-4回注射。立ち上がりが速くコンテスト直前のチューニングに向く。
マステロンの注射(エナンセート)
ドロスタノロン・エナンセート 200mg/mL。半減期約7-10日で週1-2回注射で安定。長期サイクルでマステロンを継続使用したい場合に選ぶ。
用量レンジ
プリモボラン(エナンセート、注射)
- 男性初級:300-400mg/週
- 男性中級:400-600mg/週
- 男性上級:600-800mg/週(これ以上は副作用とコストが見合わない)
- 女性:25-50mg/週(短期4-6週)
プリモボラン(アセテート、経口)
- 男性中級:50-75mg/日
- 男性上級:75-100mg/日(肝負担で4-6週上限)
マステロン・プロピオネート(注射)
- 男性中級:300-400mg/週(週3-4回隔日で割り当て)
- 男性上級:400-600mg/週
マステロン・エナンセート(注射)
- 男性中級:300-500mg/週(週1-2回)
- 男性上級:400-600mg/週
単独使用は推奨されない
両者とも単独で十分な効果を出すには高用量が必要で、リスクが見合わない。テストステロン(エナンセートやプロピオネート)を土台に置いて、補助役として組み込むのが現実的。
使い分けの判断:目的別チャート
LBMを温存しながら長期で組みたい
プリモボラン・エナンセート 400-500mg/週を12-16週走らせる。テストステロン 300-500mg/週と組み合わせる。地味だが副作用が穏やかで、年に複数回回せる組み立て。
コンテスト直前4-8週の見た目仕上げ
マステロン・プロピオネート 400mg/週を6-8週(隔日100mg)。テストステロン・プロピオネート 300mg/週と組み合わせ。乾いた硬さが出やすい。
脱毛が気になる、AGA素因がある
プリモボラン優先。マステロンは脱毛リスクが目立ちやすい。それでもDHT派生は脱毛悪化の可能性があるので、AGAが進行中の人はフィナステリド・デュタステリドの併用を検討する(AAS文脈では各人の判断)。
女性が使う場合
プリモボラン低用量(25-50mg/週)を4-6週短期ブロック。マステロンは原則避ける。
コストを抑えたい
マステロンの方が大幅に安い。プリモボランは1サイクル分のコストがマステロンの3-4倍になることが多い。コスト最優先ならマステロン。
両方使う
長期サイクルなら、1-12週でプリモボラン、9-16週でマステロンに切り替える(後半に質感を寄せる)、というブロック分けがあり得る。同時併用も可能だが、アンドロジェニック副作用が累積する。
サイクル例
プリモボランベースの中級者サイクル(16週)
- 1-16週:テストステロン・エナンセート 400mg/週
- 1-16週:プリモボラン・エナンセート 500mg/週
- 1-16週:アロマターゼ阻害剤を必要量
- 17-20週:PCT(クロミフェン+タモキシフェン)
地味な仕上がり。LBMを淡々と上げて、副作用は穏やか。
マステロンを後半に重ねる中級者サイクル(14週)
- 1-14週:テストステロン・プロピオネート 350mg/週
- 9-14週:マステロン・プロピオネート 400mg/週
- 必要時:アロマターゼ阻害剤(マステロンのE2抑制と被るので注意)
- 15-18週:PCT
最後の6週でぐっと絞り感を出すブロック。
よくある質問(FAQ)
Q1. どっちを先に試すべきですか?
A. AAS経験が浅いならプリモボラン。マイルドで副作用が読みやすい。コンテスト用途で質感を出したいなら最初からマステロンを試す価値はある。
Q2. プリモボランは「弱い」「効かない」と言われがちですが本当?
A. 確かに筋肥大量は控えめ。ただし「副作用が穏やかで、LBMを長期に維持できる」という性質は他のAASにない強み。「効かない」のではなく「派手じゃない」が正確。
Q3. マステロンの抗エストロゲン作用ってどれくらい当てになる?
A. アロマターゼ阻害剤の代わりにはならない、というのが現実的な評価。エストロゲン受容体への弱い拮抗作用はあるが、テストステロン高用量で芳香化が増えた状態を抑え込むには力不足。アロマターゼ阻害剤の併用は別途必要なケースが多い。
Q4. プリモボラン経口は肝臓に悪い?
A. 17α-アルキル化に近い構造で、純粋な17α-アルキル化AAS(オキシメトロン・スタノゾロールなど)よりは肝負担が軽いとされる。それでも長期(8週超)・高用量は肝機能採血で要監視。
Q5. 両方同時に使う意味はある?
A. ある。プリモボランをベース、マステロンを後半ブロックという「役割分担」運用がよく見られる。同時併用ではアンドロジェニック副作用と E2低下が問題になりやすい。
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