持久力系総合ガイド|カルダリン/SR9009・有酸素能力強化

持久力系総合ガイド|カルダリン/SR9009・有酸素能力強化

LINE登録で「ステロイドとSARMs徹底ガイド」を無料プレゼント

選び方・使い方・気をつけたいポイントを1冊にまとめたガイドを、LINE登録された方に無料でお渡ししています。

LINEで徹底ガイドを受け取る
登録無料 / ブロック自由

リード|「走れる体」を作る化合物群を整理する

ベンチプレスは上がる。スクワットも重い。それでも 3 ラウンド目で息が上がり、最後のラッシュで足が止まる——格闘技・長距離・球技を本気でやっている層からよく上がる悩みである。筋肥大系の AAS(アナボリックステロイド)を増やしても解決しないどころか、心肥大や赤血球増多で逆効果になる場面さえある。

持久力に効く化合物として海外フォーラムや論文で名前が挙がるのは、SARMs(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)とは別系統の「PPARδ作動薬」「Rev-erbα作動薬」と呼ばれるグループである。代表格がカルダリン(GW-501516)、その後発であるGW-0742、そしてSR9009(ステナボリック)の 3 つになる。

この記事では、持久力強化を目的にこれらの化合物を検討している層に向けて、作用機序の違い・実際の用量プロトコル・副作用の客観的データ・WADA(世界アンチドーピング機構)禁止物質としての扱いを整理する。20 年やっている中の人とジム仲間の経験、および公開されている臨床・動物試験データを照合した内容である。

結論|持久力強化は「PPARδ系」と「Rev-erbα系」の二刀流で組む

時間がない読者向けに先に結論を置く。

  • 有酸素能力(VO2max・耐久走行距離)を底上げ したいなら、PPARδ作動薬であるカルダリン(GW-501516)が第一候補。動物実験では持久走行距離 60〜70% 延長の報告がある。
  • 脂肪を燃やしながら持久力も上げたい カット期格闘家には、PPARδ作動とミトコンドリア機能向上を狙うカルダリン+SR9009 のスタックが定番化している。
  • カルダリンの発がん性懸念が気になる 層は、選択性を高めた後発のGW-0742 か、別系統のSR9009 を単剤で使う選択肢がある。
  • いずれもWADA 禁止物質であり、競技選手が大会前後に使えば検出される。趣味トレーニーが「自分の体力を底上げするため」に試す前提で読まれたい。

以下、化合物ごとに掘り下げていく。

持久力系化合物が「筋肥大系AAS」と決定的に違う点

持久力系をいきなり用量から語る前に、なぜ筋肥大系AASでは持久力が伸びにくいのか、ここを押さえておく必要がある。

筋肥大系AAS(テストステロン、ナンドロロン、トレンボロン等)はアンドロゲン受容体に結合して筋タンパク合成を促す。これは筋線維の太さを増やす方向の作用であり、毛細血管密度・ミトコンドリア数・遅筋線維の酸化能力——つまり「走り続ける能力」の核心部分にはほぼ働きかけない。むしろ赤血球を増やしすぎて血液粘度が上がり(多血症と呼ばれる)、心臓に負担をかけて持久パフォーマンスを下げる例もある。

これに対して、本稿で扱うカルダリン・GW-0742・SR9009 はアンドロゲン受容体ではなく、核内受容体PPARδ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ)、もしくは 時計遺伝子Rev-erbα(レブエルバアルファ) に作用する。役割は筋肉を太くすることではなく、骨格筋細胞内のエネルギー代謝経路を「脂肪をどんどん燃やして長時間動ける筋肉」に書き換えることだ。

このため筋トレ界隈では、これらは「SARMs と一緒に語られがちだが厳密にはSARMs ではない」という整理がされている。SARMs(LGD-4033、RAD-140、オスタリン等)が筋肥大方向のレバーなら、カルダリン・SR9009 は持久力方向の別レバーである。

カルダリン(GW-501516)|PPARδ作動による「走れる筋肉」化

作用機序

カルダリンはGSK 社が 2000 年代に開発したPPARδアゴニスト(作動薬)である。骨格筋細胞のPPARδを活性化すると、脂肪酸を取り込んで燃やす経路(βオキシデーション=脂肪酸の段階的分解反応)の酵素群が一斉に発現上昇し、筋肉が糖よりも脂肪を優先して燃料にするようになる。

このスイッチが入った筋肉は、グリコーゲン(筋肉中の糖の貯蔵形)の枯渇による「ガス欠」が起きにくくなる。マラソンや格闘技後半の失速の正体はグリコーゲン枯渇であり、それが起きにくくなる以上、後半粘れる体になるという理屈である。

2008 年、Salk 研究所のEvans らがCell 誌に発表したマウス実験では、カルダリン投与+運動トレーニング群がトレーニング単独群と比べて持久走行距離を約 70% 延長したとされる(Narkar et al., 2008)。「Exercise in a Pill(運動の錠剤化)」という見出しでメディアに取り上げられた、持久力系化合物の代名詞的研究である。

用量プロトコル(実際に使われている量)

海外フォーラムやコーチング界隈で報告されている量は、おおむね以下のレンジである。

  • 入門量: 10 mg/日、6〜8 週間
  • 標準量: 20 mg/日、6〜8 週間
  • 上限報告例: 30 mg/日(これ以上は副作用観点で踏み込まない層が多い)

半減期は 16〜24 時間と比較的長く、1 日 1 回投与で血中濃度を保てる。トレーニング 30〜60 分前に飲むと、その回のセッションで体感が出やすいと言われている。経口剤(10 mg×50 錠タイプ)が一般的だが、より少量で同等血中濃度を狙える注射剤(50 mg/10mL タイプ)も流通している。

詳細な用量計算・スタック例・PCT(ポストサイクルセラピー、休薬期の回復プロトコル)の要否については、別記事の {placeholder-cardarine-deep} で深掘りしている。

副作用|「発がん性報告」をどう読むか

カルダリンの話題で必ず出るのが、ラット長期投与試験で複数臓器に腫瘍が観察されたという報告である。これは事実だが、読み方には注意が必要だ。

公開されているラット試験では 2 年間連続投与・高用量(ヒト換算でかなり高い用量)という条件下で肝臓・膀胱等の腫瘍発生率上昇が確認されている。一方、ヒトでの長期発がん性データは存在しないため「ヒトにどう外挿できるか」は科学的に確定していない。フォーラム上の実用層は「8 週間オン-8 週間オフを守り、生涯総投与量を抑える」運用で対応しているケースが多い。

LDL コレステロール上昇・肝酵素(AST/ALT)変動の報告は限定的だが、開始前後で血液検査を取って数値で管理する姿勢が望ましい。

GW-0742|カルダリンの「選択性を高めた」後発化合物

カルダリンとの違い

GW-0742 は同じくGSK 社が開発したPPARδアゴニストで、化学構造上カルダリン(GW-501516)の近縁体にあたる。社内コード番号が示すとおり兄弟化合物だが、開発段階での文献では PPARδ への選択性がカルダリンよりさらに高い と整理されている。

理屈の上では、PPARα(肝臓寄りの脂質代謝)・PPARγ(脂肪細胞分化)への副次作用が少ない方向にチューニングされているため、カルダリンで気になるオフターゲット作用を減らしたい層が選ぶ後発である。「LEAN GW-0742」として 10 mg×50 錠で流通している。

用量と立ち位置

報告されている用量レンジはカルダリンとほぼ同等(10〜20 mg/日)。半減期もカルダリン同様 10〜24 時間程度で、運用感は近い。

現場的には「カルダリンを 2 サイクル回した後、3 サイクル目はGW-0742 に切り替えてリスク分散する」「カルダリンの発がん性データが気になるからGW-0742 から入る」といった使い方が見られる。ただし、GW-0742 そのものの長期ヒト試験データもないため、「カルダリンより明確に安全」と断定できる根拠はないというのが正直なところである。

GW-0742 単独の用量設計と体感比較は {placeholder-gw0742-deep} で掘り下げている。

SR9009(ステナボリック)|Rev-erbα作動による「時計を書き換える」化合物

作用機序が異なる

SR9009 はScripps 研究所のBurris らが 2012 年に開発した Rev-erbα 作動薬である。Rev-erbαは細胞内時計(概日リズム)を制御する核内受容体で、これを活性化すると ミトコンドリア新生(細胞内のエネルギー工場が増える現象) とミトコンドリア機能向上が起こることがマウス実験で示されている。

つまりカルダリン系が「既存の代謝経路の効率を上げる」のに対し、SR9009 は「エネルギー工場の数自体を増やす」イメージである。Solt らの2012 年Nature 論文では、SR9009 投与マウスで持久走行距離・酸素消費量の有意な増加が報告された。

半減期の短さが運用上の最大課題

SR9009 の運用がカルダリンと決定的に違うのは半減期である。経口投与では半減期がおよそ 4 時間と短く、1 日 1 回ではほぼ効かない

そのため標準プロトコルは以下のように分割する形になる。

  • 経口剤(20 mg 錠): 1 日合計 30〜40 mg、3〜4 回に分割投与(起床時/昼/トレ前/夕方など 4〜6 時間間隔)
  • 注射剤(64 mg/10mL): バイオアベイラビリティ(体内利用率)が経口より高いため、1 日 1〜2 回・合計 10〜20 mg で同等血中濃度を狙う使い方が報告されている

経口剤を「1 日 1 回しか飲まない」運用だと、効果が出ない/不安定になるのは半減期から見て当然である。SR9009 を試す場合は分割投与か注射剤を選ぶか、最初に決める必要がある。

副作用の実態

SR9009 はカルダリンほどの長期発がん性懸念は今のところ報告されていないが、そもそも長期ヒト試験データ自体がないため「安全」とは言えない。短期使用での重大な体調変化の報告は限定的だが、概日リズム(体内時計)に作用する以上、睡眠への影響を訴えるユーザーは一定数いる。寝る前の投与を避けるのが現場の運用である。

SR9009 経口/注射の選択基準と用量計算は {placeholder-sr9009-deep} に詳述している。

カルダリン+SR9009 スタック|格闘家・カット期の定番組み合わせ

PPARδ(脂肪燃焼経路) と Rev-erbα(ミトコンドリア新生) は作用ポイントが異なるため、併用しても受容体競合が起こらず相加的に効きやすい——というのが理論的な根拠である。フォーラムでは以下のような組み方が定番化している。

  • カルダリン 10〜20 mg/日(朝 1 回)
  • SR9009 経口 30 mg/日(10 mg を 3 回分割) もしくは注射 10 mg/日
  • 期間: 6〜8 週間
  • 終了後 4〜8 週間オフを挟む

このスタックは特に 試合 8 週前から減量しながら持久力を落としたくない格闘家マラソン直前の調整期夏前のカット期に有酸素キャパも上げたいトレーニー の用途で選ばれている。カット期で食事量を絞ると練習の後半でガス欠しやすいが、PPARδ+Rev-erbα の組み合わせは脂質を燃料にする効率を底上げするため、低糖質下でも粘れる体になる、というロジックである。

スタック詳細プロトコルとオン-オフ周期の組み方は {placeholder-cardarine-sr9009-stack} を参照。

筋肥大系AASとの併用|カット期格闘家の現実的な組み立て

純粋に持久力だけ伸ばしたい層はPPARδ・Rev-erbα 系のみで十分だが、現実には「除脂肪して筋量を保ったまま持久力も上げたい」という二兎を追う場面が多い。この場合、筋量保持目的でAAS を低用量で土台に置き、その上にカルダリン・SR9009 を載せる構成が取られる。

代表的な土台は以下である。

  • テストステロン低用量(置換量レンジに近い 200〜250 mg/週)
  • マステロン(ドロスタノロン)中等量(カット期の硬さと筋保持目的)
  • アナバー(オキサンドロロン)中等量(同上、経口で組みやすい)

これらに加えてカルダリン+SR9009 を載せると、AAS による筋分解抑制と持久力化合物による有酸素能力向上が両立する設計になる。ただしAAS を入れる時点で多血症・脂質悪化等のリスクが増えるため、血液検査と血圧管理は必須である。

カット期に向くAAS の選び方と用量設計は {placeholder-fighter-aas-cut} で整理している。

WADA 禁止物質としての扱い|競技選手が知っておくべきこと

カルダリン・GW-0742・SR9009 はいずれもWADA(世界アンチドーピング機構)禁止表に明記されている。

  • カルダリン(GW-501516): S4.5 代謝モジュレーター、常時禁止
  • GW-0742: S4.5 代謝モジュレーター、常時禁止(GW-501516 を含む同類化合物として包括)
  • SR9009 等Rev-erbα作動薬: S4.5 代謝モジュレーター、常時禁止

「常時禁止」とは競技外検査でも検出されれば違反となる扱いを指す。半減期から逆算した検出可能期間は、カルダリンで投与後数週間、SR9009 は短いとされるが代謝物の検出技術は年々向上しているため「検出されないだろう」という前提で競技に臨むのは現実的でない。

WADA カテゴリ詳細と検出窓の参考データは {placeholder-wada-banned} にまとめている。試合・大会出場予定がある競技者は、これらの化合物の使用そのものを避けるか、競技引退後に検討する判断が妥当である。

この記事の内容をもっと体系的に知りたい方へ。「ステロイドとSARMs徹底ガイド」はLINE登録で無料で受け取れます。

LINEでガイドを受け取る

FAQ

Q1. カルダリンとSARMsは違うのか? A. 違う。SARMs はアンドロゲン受容体に作用するのに対し、カルダリンはPPARδという全く別の核内受容体に作用する。フォーラム上で一緒に語られることが多いが、薬理学的には別カテゴリと整理するのが正確である。

Q2. 持久力強化目的だけならPCT(休薬期回復プロトコル)は必要か? A. カルダリン・SR9009 単剤であれば、HPTA(視床下部-下垂体-性腺軸、自分の体内ホルモン分泌の制御系)を直接抑制しないためPCT は不要というのが現場の合意である。ただしテストステロン等AAS を併用する場合はPCT が必要となる。

Q3. 経口剤と注射剤、どちらが良いか? A. カルダリンは半減期が長いため経口で十分。SR9009 は経口だと 1 日 3〜4 回分割が必要で、コンプライアンス(飲み忘れずに継続できるか)を考えると注射剤の方が運用しやすいケースもある。ライフスタイルとの相性で選ぶ。

Q4. 8 週間使った後、どれくらい休めばよいか? A. オン期間と同等の 6〜8 週間オフが定番である。特にカルダリンは長期投与での発がん性懸念があるため、生涯総投与量を抑える発想でオフを必ず挟む。

Q5. 血液検査はどの項目を見ればよいか? A. AST/ALT(肝酵素)、LDL/HDL コレステロール、空腹時血糖、ヘマトクリット(AAS 併用時)が基本。開始前にベースラインを取り、8 週後とオフ明けの 3 点で比較するのが現場の標準である。

最後に

ステロイドとSARMsの全体像を1冊にまとめた「ステロイドとSARMs徹底ガイド」を、LINE登録で無料配布しています。

LINEで徹底ガイドを受け取る
ブログに戻る