
知らなきゃ危険!ステロイドの高血圧副作用を防ぐ3つの鉄則
導入
アナボリックステロイドは、筋肉の増強やパフォーマンス向上を目的として多くのアスリートやボディビルダーに使用されています。しかし、その使用に伴い、さまざまな副作用が報告されています。中でも高血圧は、特に注意が必要な副作用の一つです。高血圧は心臓や血管に大きな負担をかけ、動脈硬化や心疾患、脳卒中といった深刻な健康問題のリスクを高めます。適切に対処しないと、長期的に健康を害する危険性があります。
高血圧は自覚症状が現れにくいのが特徴で、気づかぬうちに進行することがあります。そのため、アナボリックステロイド使用者は特に注意が必要です。この記事では、アナボリックステロイド使用時に発生しやすい高血圧の原因と、具体的な予防・対策法について詳しく解説していきます。
なぜ高血圧の副作用がおこるのか
1. アロマターゼによるエストロゲン増加
テストステロンエナンテート(テストE)などのアナボリックステロイドは、体内でアロマターゼという酵素によって一部がエストロゲンに変換されます。このエストロゲンの増加が、体内の水分保持を促進し、浮腫みの原因となります。体が浮腫むことで体液量が増加し、血圧の上昇を招くのです。また、エストロゲンの増加によって心血管系に悪影響が及ぶ可能性も指摘されています。そのため、ステロイド使用時はエストロゲンの管理が重要となります。
2. 増量サイクルにおける食事量の増加
筋肉の増強を目的とした増量サイクルでは、カロリー摂取量を大幅に増やすことが一般的です。高カロリー食は体重増加を促進しますが、その一方で体内の水分量も増えやすくなります。特に塩分が多い食事は、体内に水分をため込みやすく、血圧の上昇を引き起こす原因になります。また、過剰なタンパク質摂取も腎臓に負担をかけ、血圧の管理が難しくなる場合があります。さらに、脂質の多い食事は血管を詰まらせ、血流を悪化させる可能性もあるため注意が必要です。
3. 大量の水分と塩分の摂取
ステロイド使用中は筋肉のパンプ感を得るために水分を多く摂取する人が多いですが、これに加えて塩分の過剰摂取があると、さらに体液量が増え、高血圧のリスクが高まります。特に外食や加工食品などには多くの塩分が含まれているため、摂取量に注意する必要があります。さらに、アルコールの摂取も体内の水分バランスを崩すため、避けることが推奨されます。
高血圧対策
1. アロマターゼ阻害薬の使用
エストロゲンの増加を抑えるために、アロマターゼ阻害薬(AI)の使用が効果的です。AIはアロマターゼの働きを抑制し、エストロゲンの生成を防ぎます。代表的なアロマターゼ阻害薬としては、「アロマシン(エキセメスタン)」と「アリミデックス(アナストロゾール)」があり、これらを適切に使用することで、浮腫みを軽減し、血圧の上昇を抑えることができます。これらの薬剤はエストロゲンの抑制に効果的ですが、過剰使用は逆にホルモンバランスを崩す原因になります。特にエストロゲンを極端に低下させると関節の痛みや気分の落ち込みといった副作用が発生する可能性もあるため、医師や専門家の指導を受けながら適切に管理しましょう。
2. 利尿剤の使用
体内に溜まった余分な水分を排出するためには、利尿剤の使用も有効です。減量サイクルにおいては、特に「フォシーガ(ダパグリフロジン)」の使用が推奨されます。フォシーガはSGLT2阻害薬で、余分な糖分とともに水分を排出し、体液のコントロールに役立ちます。これにより、血圧の上昇を防ぐことができます。ただし、利尿剤の乱用は脱水症状や電解質バランスの乱れを引き起こし、逆に体調を悪化させるリスクがあるため、注意が必要です。特に高用量での長期間使用は避けましょう。利尿剤の使用後は、十分な水分と電解質の補給も欠かさず行いましょう。
3. カリウムなどの摂取
カリウムは体内のナトリウムバランスを整える働きがあり、血圧の安定に大きく寄与します。バナナ、アボカド、ほうれん草、サツマイモなどのカリウムが豊富な食品を積極的に摂取することが推奨されます。また、マグネシウムやカルシウムも血圧の調整に役立つ栄養素であり、バランスの良い食事を心がけることが重要です。加えて、塩分摂取を控えることで、さらに血圧の安定を図ることが可能です。
4. 適度な運動とストレス管理
運動は血圧の安定に有効であり、軽い有酸素運動を日常に取り入れることで、心血管系の健康を保つことができます。また、ストレスは血圧上昇の一因となるため、リラックスする時間を設けたり、睡眠を十分に取るなどのストレス管理も効果的です。瞑想やヨガなどのリラクゼーションも取り入れると良いでしょう。
まとめ
アナボリックステロイドの使用に伴う高血圧は、適切な対策を講じることで予防・管理が可能です。アロマターゼ阻害薬(アロマシン、アリミデックス)の適切な使用、利尿剤(フォシーガ)による体液管理、カリウムなどのミネラル摂取、そして日々の食事や運動、ストレス管理を意識することが重要です。これらの対策を講じることで、健康的かつ安全に筋肉増強を進めることができます。高血圧のリスクを最小限に抑えながら、適切なサイクルを心がけましょう。