AAS使用中のコレステロール管理 HDL対策

AAS使用中のコレステロール管理 HDL対策

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リード

AAS(アナボリックステロイド、筋肉合成を促進する合成男性ホルモン製剤)を使うと、ほぼ確実にぶつかる壁が「脂質プロファイルの悪化」です。具体的にはHDLコレステロール(いわゆる善玉、血管の掃除役)が大きく下がり、LDLコレステロール(いわゆる悪玉、動脈壁にたまりやすい方)が上がるという、心血管リスクの観点で最も避けたい方向に動きます。

筋肉は確かに付くけれど、サイクル明けに血液検査でHDLが一桁台まで落ちてオーナーに怒られた、家族に「顔色が変だ」と言われた、健康診断でC判定が並んだ、という話は珍しくありません。

この記事では、AAS使用中になぜコレステロールが乱れるのか、経口AASがなぜ特に危ないのか、そして実際に使っている人たちが取り入れている対策(食事、有酸素、サプリ、サイクル設計)を、できる限り具体的にまとめます。

結論

AASは原則としてHDLを大きく下げ、LDLを上げます。とくに経口AAS(17α-アルキル化されたタブレット型)は肝臓を強く通るぶん、脂質代謝への打撃が最大級です。対策の柱は四つで、(1)経口の使用期間と用量を最小限にする、(2)オメガ3(EPA・DHA)と食物繊維を毎日入れる、(3)有酸素運動を週150分以上確保する、(4)サイクル前後に血液検査を行い、HDL・LDL・中性脂肪を必ず数値で確認する、です。サプリでナイアシンやベルベリンを補助的に使う人もいますが、サイクル設計と生活習慣のほうが効きます。

なぜAASでHDLが下がりLDLが上がるのか

AASを体に入れると、肝臓の酵素であるヘパティックリパーゼ(HL)の活性が大きく上がります。このHLはHDL粒子を分解する働きを持つため、HLが活発になればなるほどHDLは血中から消えていきます。男性ホルモン系の物質はもともとHLを刺激する性質があり、AASはそれを薬理的な濃度で行うため、生理的なテストステロン分泌では起きないレベルの低下が起こります。

一方でLDL受容体(肝臓がLDLを回収する窓口)の発現が落ちる傾向もあり、結果として血中のLDLが減りにくくなります。さらにAASは赤血球量(ヘマトクリット)を増やして血液の粘度を上げるため、脂質の悪化と血液の粘りが重なり、心血管への負担が二重にかかる構図になります。

ノンアロマ系・DHT系で悪化が強い理由

テストステロンエステル(エナンセートやシピオネートなど)はアロマターゼ(男性ホルモンを女性ホルモンへ変換する酵素)でエストロゲンに変わる経路があり、エストロゲンはHDLを保護する方向に働きます。そのため、テストステロン単体サイクルではHDL低下がまだ穏やかな部類です。

これに対して、ノンアロマ系(エストロゲンに変換されないタイプ。トレンボロン、マスタロン、ウィンストロールなど)はエストロゲンによる保護が入らないぶん、HDL低下が急峻になります。「キレるけれど脂質がボロボロになる」と言われるのはこのためです。

経口AASがとくに肝臓と脂質を直撃する理由

経口で飲むタイプのAAS(オキサンドロロン、ウィンストロール経口、メタンジエノン、アナドロールなど)の多くは、肝臓で分解されないように17α-アルキル化という化学的な改造が施されています。これにより内服しても効くようになる代わりに、肝臓を高濃度で通過し続けることになります。

経口AAS群がもたらすHDL低下幅は、注射型の同量と比べてもさらに大きいと報告されており、4〜6週間で半分以下になるケースも珍しくありません。短期間でカット仕上げを狙うときに経口を足したくなるのは分かりますが、コレステロールの観点では「短くても深い穴を掘る」行為に近いと考えたほうが安全です。

用量より「期間」が効く

経口AASの脂質への影響は、用量を倍にしても被害が倍になるわけではなく、ある閾値を超えると比較的早く頭打ちになります。逆に「期間が長いほど被害が累積する」性質があるため、4週間で切り上げるか8週間引っ張るかで、サイクル明けの数値の戻り方が大きく変わります。経口は短期決戦という運用が好まれるのはこの理由です。

食事でできるHDL低下対策

オメガ3(EPA・DHA)

魚油由来のオメガ3脂肪酸は中性脂肪を下げる効果がよく知られており、AASユーザーが最初に入れるサプリの定番です。1日あたりEPA+DHAで2〜4g程度を継続摂取するケースが多く、サイクル中はこの上限寄りに合わせる人が目立ちます。空腹時より食事と一緒のほうが吸収が安定します。

食物繊維と植物ステロール

水溶性食物繊維(オートミール、大麦、サイリウム、こんにゃくなど)は腸内で胆汁酸と結合し、肝臓のコレステロール再利用を妨げる経路でLDLを下げる方向に働きます。1日25〜35gの総食物繊維量を目標にして、そのうち5〜10gを水溶性で取るイメージです。植物ステロールを多く含む食品(ナッツ、種子、植物油)も補助になります。

飽和脂肪・トランス脂肪の制限

AASでLDLが上がりやすい状態のところに、飽和脂肪やトランス脂肪を多く取るとさらに上乗せされます。バルクで脂質を多く取りたい場合も、オリーブオイル、アボカド、ナッツなどの一価不飽和脂肪に振ったほうが脂質プロファイルは守りやすくなります。揚げ物、加工肉、菓子パンなどは可能な範囲で減らすほうが無難です。

有酸素運動はサプリより効く

有酸素運動はHDLを上げる介入の中で、最も再現性が高いものの一つです。ウェイトトレーニングだけでなく、週に合計150〜250分程度の中強度有酸素(心拍数120〜140程度のジョグ、自転車、エアロバイクなど)を組み込むと、HDL低下の幅が小さくなり、サイクル明けの回復も早くなる傾向があります。

「筋肉が落ちるから有酸素は嫌だ」という人も、AAS使用中は逆に筋分解が起きにくい時期なので、ここで有酸素の習慣を作っておくとオフサイクルでも脂質が崩れにくくなります。サイクル中こそ有酸素、と言われるゆえんです。

サプリの位置づけ:ナイアシンとベルベリン

ナイアシン(ビタミンB3)

ナイアシンはHDLを上げ、LDLと中性脂肪を下げる方向に働くことが古くから知られています。AASユーザーが補助として取り入れるケースがありますが、フラッシュ(顔の紅潮、ピリピリ感)が出やすく、肝機能にも負担をかけうるため、経口AASと同時併用するのは避けるのが一般的です。使う場合はフラッシュフリー型ではなく素のニコチン酸を、夕食後に低用量から始める運用が多いです。

ベルベリン

ベルベリンは血糖値とLDLの両方に作用するアルカロイドで、メトホルミンに似た側面を持つとされます。AAS中の脂質補助として取り入れる例が増えていますが、薬物代謝酵素CYP3A4を阻害するため、他のサプリや薬と相互作用する可能性があります。1日500mg×2〜3回が一般的な使い方ですが、自己判断で他の薬と重ねるのは推奨されません。

注意:サプリは保険、本丸はサイクル設計

ナイアシンもベルベリンも、AASの脂質悪化を完全に打ち消すほどの力はありません。経口AASを8週引っ張りながらサプリで補おうとしても追いつかないことが多く、まずはサイクルを短く・テストステロンベースに絞る・経口を切るといった構造的な対処が先です。サプリは「保険として上乗せする層」と捉えるのが現実的です。

サイクル設計でできること

経口を入れるなら4週以内に区切る

経口AASを入れる場合、サイクル全体の中でも経口を効かせる期間を4〜6週間に区切り、その後は注射型のみに切り替える運用が広く行われています。これだけでサイクル明けのHDLの戻り方が変わります。

サイクル長そのものを短くする

12週よりは10週、10週よりは8週のほうが脂質への累積ダメージは小さくなります。年に1〜2回、短く深く、間を十分に空けるほうが、長くだらだら続けるよりも血管へのダメージが軽い傾向があります。

血液検査を必ず取る

サイクル前(ベースライン)、サイクル中盤、サイクル明け2〜4週の三点で血液検査を取り、HDL・LDL・中性脂肪・肝酵素(AST、ALT、γ-GTP)を数値で確認する習慣をつけると、自分の体がどの薬剤にどう反応するかが見えてきます。感覚で判断しないことが、長く続けるための最大の防御策です。

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FAQ

Q1. サイクル中にHDLが一桁台まで下がりました。危険ですか? A. 一時的に大きく下がること自体は経口AAS使用者で珍しくはありませんが、その状態を長期間維持するのは心血管リスクの観点で望ましくありません。経口を切り上げる、有酸素を入れる、サイクルを早めに終わるなどの方向で対処し、サイクル明けに再検査して戻りを確認することをおすすめします。

Q2. オメガ3は何gくらい取ればよいですか? A. AAS使用中はEPA+DHA合計で1日2〜4gを目安にする人が多いです。食事の魚から取れる量には限界があるため、サプリで補う形が一般的です。パッケージのEPA・DHAの含有量(総量ではなく)を見て計算してください。

Q3. テストステロン単体ならコレステロールは下がらない? A. 単体でも下がりますが、ノンアロマ系や経口AASと比べると低下幅は穏やかな部類です。とくに生理的範囲を大きく超える高用量にしなければ、サイクル明けの回復も比較的早い傾向があります。

Q4. ナイアシンとオメガ3はどちらを優先すべき? A. オメガ3が先です。副作用がほぼなく、中性脂肪を下げる効果が安定しているため、誰でも入れやすい層です。ナイアシンはフラッシュや肝負担のリスクがあるため、オメガ3と生活習慣でカバーしきれない場合に検討する位置づけが現実的です。

Q5. PCT(サイクル後のホルモン回復療法)中はどうしたら? A. PCT中はテストステロン濃度が一時的に低い状態で、HDLの回復はゆっくりです。有酸素運動と食事を維持しつつ、PCT終了からさらに4〜8週後に血液検査を取ると、自分の戻りの速さが分かります。

最後に

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