SARMs後ミニPCT vs フルPCT|オスタリン/LGDサイクル後の選択
リード
SARMs(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)のサイクルを終えたあと、PCT(ポストサイクルセラピー=サイクル後のホルモン回復ケア)をどこまでやるべきか迷う方は多いはずです。AAS(アナボリックステロイド)のような重度の抑制までは出ないとされる一方で、化合物や用量によっては明確にテストステロン値が落ち込むという海外フォーラム報告や臨床データもあり、「軽くケアすればOK」と「フルPCTが必要」の意見が混在しています。
この記事では、SARMsサイクル後に選ばれることの多い「ミニPCT」と従来型「フルPCT」の違いを、化合物別の抑制度合いと典型プロトコルを軸に整理します。読み終えるころには、自分が使った化合物・用量・期間に対してどちらが妥当な選択肢なのかを判断する材料が揃うはずです。
結論
オスタリン(Ostarine/MK-2866)20mg・8週程度の軽いサイクルであれば、クロミフェンやタモキシフェンを2週前後使うミニPCTで十分回復するケースが多く報告されています。一方、LGD-4033・RAD-140・S-23・YK-11などの抑制度が中〜重に分類される化合物を中用量以上で回した場合は、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)を4週使うフルPCT寄りの設計が無難です。判断軸は「化合物の抑制プロファイル × 用量 × 期間」の三点で、いずれか一つでも重い側に寄ったらミニPCTでは足りない可能性が高まります。
ミニPCTとは何か
ミニPCTは、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)を従来より短期間・低用量で使う簡略版のサイクル後ケアを指す用語です。海外フォーラムでは「short PCT」「mini PCT」と呼ばれ、SARMs文化圏で広まりました。
典型的にはクロミフェン(Clomid)を1日25mgまたは隔日25mgで2週間、あるいはタモキシフェン(Nolvadex)を10〜20mgで2〜3週間という設計が一般的です。AAS後の標準的なフルPCTが4週を基準にしているのに対し、半分以下の期間で済ませる発想です。
ミニPCTが成立する前提は、サイクル中の抑制が軽度であることです。具体的には、視床下部-下垂体-性腺軸(HPG軸=テストステロン分泌の指令系統)の抑制が部分的にとどまり、サイクル終了から数週以内に内因性のLH/FSH(黄体形成ホルモン/卵胞刺激ホルモン=精巣にテストステロンを作れと命令する脳のホルモン)が自然回復してくる場合に限られます。
フルPCTとは何か
フルPCTは、AAS後の標準的なケアとして長らく定着している設計で、SERMを4週使うのが基本形です。代表的なプロトコルは、クロミフェン50/50/25/25mg(週ごとに減量)とタモキシフェン20/20/10/10mgのいずれか、あるいは両者の併用です。
抑制が深い場合は、サイクル終了の2〜3週前からHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン=精巣を直接刺激して萎縮を防ぐホルモン)を500〜1000IU週2回で投与し、精巣機能を保ったままSERM導入につなげる「HCGブリッジ」が用いられることもあります。SARMs単体サイクルでHCGまで踏み込むケースは多くありませんが、長期・高用量・複数SARMsスタックではフルPCT+HCGが選択される報告もあります。
フルPCTの狙いは、SERMでエストロゲンの負のフィードバックをブロックし、視床下部に「テストステロンが足りない」と認識させてLH/FSHの分泌を強制的に再開させることです。これにより、サイクルで止まっていた内因性テストステロン産生を立ち上げ直します。
SARMs化合物別の抑制度と選択
化合物ごとの抑制度合いを把握することが、ミニ/フル選択の出発点です。臨床試験や海外ユーザー報告から得られている目安を整理します。
オスタリン(Ostarine / MK-2866):軽
GTx社による臨床試験では、Ostarine 3mg・12週で総テストステロンが約23%、SHBG(性ホルモン結合グロブリン)が約43%低下したと報告されています(GTx社の臨床試験で報告)。ユーザーレベルで使われる20〜25mg・8週ではより大きな抑制が出る可能性がありますが、AAS的な「ゼロまで落ちる」ほどの抑制には至らないケースが大半です。
このレンジであればミニPCT(クロミ25mg隔日2週、またはタモキシフェン10mg×2〜3週)で回復が見込める設計が一般的です。
LGD-4033(Ligandrol):中
LGD-4033は1mg・3週で総テストステロンが約半減したという第I相試験データ(第I相試験で報告)があります。ユーザー領域の5〜10mg・8週では明確な抑制が予想され、ミニPCTでは不十分な可能性が高まります。
LGDは中用量以上ならフルPCT寄り(クロミ25mg/日×3〜4週、またはタモキシフェン20/20/10/10mg)が妥当な選択肢として語られることが多い化合物です。
RAD-140(Testolone):中〜やや重
RAD-140は前臨床データでアンドロゲン受容体への結合親和性が高く、ユーザー報告でも10〜20mg・8週で顕著なテストステロン低下が共通して挙がります。LGDと同等以上の抑制を想定し、フルPCT設計を基準にしたほうが安全です。
YK-11 / S-23:重
YK-11はミオスタチン関連の機序が議論される一方、ユーザー間ではAR(アンドロゲン受容体)アゴニスト作用と強い抑制が一致して報告されます。S-23もマウスで可逆的不妊化が示されるほどの抑制が確認されており(動物試験で報告)、AAS同等のPCT設計、つまりフルPCT4週+場合によりHCG併用が現実的な落としどころです。
ミニPCT典型プロトコル
軽度抑制(オスタリン単体・低〜中用量・8週前後)を想定した一例です。
- 週1〜2:クロミフェン25mg 隔日(または1日おき)
- 週3:必要に応じてタモキシフェン10mgで仕上げ
- 血液検査:サイクル前のベースライン、PCT終了2週後にテストステロン・LH・FSH・E2を確認
クロミフェンを隔日にする理由は、視覚副作用(視野のチラつき)と気分の落ち込みを抑えるためです。タモキシフェン単体でミニPCTを組む場合は、10〜20mgを2〜3週でフェードアウトする設計も使われます。
フルPCT典型プロトコル
中〜重抑制(LGD/RAD/YK-11/S-23、または長期スタック)を想定した一例です。
- 週1〜2:クロミフェン50mg/日 + タモキシフェン20mg/日
- 週3〜4:クロミフェン25mg/日 + タモキシフェン10mg/日
- 補助:必要に応じてアロマターゼ阻害薬(AI)をE2(エストラジオール)高値時のみ低用量で
- HCGブリッジ:長期・高抑制サイクルではサイクル終盤2〜3週に500〜1000IU週2回
ポイントは「いきなりSERMだけで4週」よりも、抑制が深いケースではHCGで精巣を起こしてからSERMで脳側を起こす二段構えが推奨されることです。SARMsであっても、6ヶ月以上の長期運用や複数スタックではAASに準じた設計が必要になります。
どちらを選ぶか:3つの判断軸
判断は次の三点を掛け算で見ます。
1. 化合物の抑制プロファイル(オスタリン軽 / LGD・RAD中 / YK-11・S-23重) 2. 用量(臨床用量近辺かフォーラム平均か、それ以上か) 3. 期間(4〜8週か、12週以上か、複数連続か)
3つすべてが軽側に寄っているならミニPCTで現実的、一つでも中〜重に寄ったらフルPCT寄りに振るのが定石です。ベースライン採血と終了後採血で判断材料を残しておくと、次回サイクル設計の精度が上がります。
なお、PCTの薬剤選択や設計について不安がある場合は医師に相談することが推奨されます。本記事は研究データと海外運用報告の整理であり、診断や処方の代替ではありません。
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LINEでガイドを受け取るFAQ
Q1. オスタリン20mg・8週ならPCTなしでもいい? A. 採血で抑制が確認されないケースもありますが、SHBGとテストステロンが低下する報告がある以上、クロミ25mg隔日2週のミニPCTを入れたほうが回復は安定します。
Q2. ミニPCTとフルPCTの中間は? A. クロミ25mg/日を3週、というLGD軽用量向けの中間設計を選ぶ人もいます。化合物と用量に応じて週数を1〜2週単位で調整する発想で問題ありません。
Q3. SARMs後にHCGは必要? A. オスタリン単体ではほぼ不要、LGD/RADでも単サイクルなら省略されることが多く、YK-11/S-23や長期スタックでは選択肢に上がります。精巣サイズの変化を自覚した場合は検討対象です。
Q4. タモキシフェンとクロミフェン、どちらがミニPCT向き? A. 副作用プロファイルで選ぶことが多く、視覚症状を避けたいならタモキシフェン、気分の落ち込みを避けたいならクロミ低用量という使い分けが一般的です。
Q5. PCT中に筋力が落ちるのを最小化するには? A. カロリーをメンテナンス維持、睡眠7時間以上、トレーニング頻度はそのままで強度を1段下げる設計が無難です。PCT期間に新規PRを狙う運用は推奨されません。
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