GW-501516(カルダリン)の効果ガイド|PPAR-δアゴニストの脂肪燃焼・持久力・発がん論文解釈・スタック【2026年版】
結論(まず3行)
- GW-501516(開発コード:カルダリン、別名エンデュロボル)はSARMsではない。アンドロゲン受容体ではなく、PPAR-δ(ピーパーデルタ:細胞内の脂肪・糖代謝を司る核内受容体)を活性化する化合物。脂肪酸酸化(脂肪をエネルギーとして燃やす反応)とミトコンドリア生合成(細胞内のエネルギー工場の増産)を促進する作用が中心で、筋同化作用は副次的。
- 効果として議論されているのは持久力の向上、体脂肪燃焼、HDL(善玉コレステロール)の改善。臨床研究では中等度肥満男性に2週間投与した試験で脂肪酸酸化の有意な亢進とHDL上昇が報告されている(PMID 18024853)。
- 一方、開発元GSKが2007年に開発を中止した経緯があり、その理由は動物への高用量・長期投与試験で複数臓器の発がん性が確認されたこと。ただし試験用量はヒトの想定常用量よりはるかに大きく、期間も2年(ラットの一生に相当)に及ぶ点は冷静に押さえる必要がある。WADA(世界アンチ・ドーピング機構)では2009年から禁止物質指定。
(本記事は20歳以上の読者を対象とする。日本国内ではGW-501516は医薬品として承認されておらず、個人輸入による自己責任利用が前提となる)
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第1章 まず誤解を片付ける:カルダリンはSARMsではない
「SARMs(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)」のカテゴリでひとまとめに語られがちなカルダリンだが、薬理学的には別物。SARMsはアンドロゲン受容体(男性ホルモンの受け皿)に作用する化合物群を指す。一方カルダリン(GW-501516)は PPAR-δ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor delta、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体デルタ) という、まったく別の核内受容体に結合するアゴニスト(刺激薬)。
なぜまとめて語られるかというと、流通経路が同じだから。研究用化合物として個人輸入される文脈・販売店のカテゴリ分け・コミュニティの議論で「SARMs売り場の隣にある」状態が長く続き、ボディメイク文脈では一緒くたに扱われてきた。
ただし作用メカニズムが違うということは、副作用プロファイルもPCT(ホルモン回復療法)の必要性も変わるということ。ここを混同すると「SARMsだからPCTが必要なはず」と的外れな対策に走ったり、逆に「SARMsじゃないから安全」と楽観しすぎたりする。
一覧で整理
| 項目 | カルダリン(GW-501516) | 一般的なSARMs(例:Ostarine、RAD-140) |
|---|---|---|
| 標的受容体 | PPAR-δ(核内受容体) | アンドロゲン受容体 |
| 主作用 | 脂肪酸酸化、ミトコンドリア生合成 | 筋同化(筋たんぱく合成促進) |
| 性ホルモン抑制 | 基本なし(HPTA非介入) | 程度差はあるが多くは抑制あり |
| PCT(回復療法) | 通常不要とされる | 用量・期間次第で要検討 |
| 主な検討対象者 | 持久力・カット | 増量・除脂肪維持 |
この立ち位置を踏まえた上で、以降の章で薬理・効果・副作用を見ていく。
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第2章 GSKが2007年に開発を止めた本当の理由
カルダリンを語るとき避けて通れないのが、開発元グラクソ・スミスクライン(GSK)が2007年に臨床開発を中止した経緯。
開発の出発点
GSKがこの化合物を開発していた目的は、脂質異常症と心血管疾患の治療薬。PPAR-δを活性化することでHDLを上げ、脂肪を燃やし、メタボリックシンドロームを改善する経口薬が作れるのではないか、という仮説。フェーズII試験まで進み、ヒトへの短期投与で実際にHDL上昇と脂肪酸酸化亢進が確認されている(PMID 18024853:中等度肥満男性に10mg/日を2週間投与)。
中止の理由
止まったのは長期発がん性試験。ラットとマウスにGW-501516を 104週間(およそ齧歯類の一生分) にわたって投与した結果、複数臓器(肝臓・膀胱・乳腺・皮膚・甲状腺・精巣・卵巣など)で腫瘍発生率の増加が報告された(GSK社内データ。Carcinogenesis誌の関連論文 PMID 15917308 でPPAR-δアゴニストの肝オーバル細胞への影響が報告されている)。
これを受けてGSKは開発を中止し、WADAは2009年に禁止物質リストに追加。Health Canada、オーストラリア(2018年に毒物指定)も警告を出している。
この情報の正しい読み方
ここで多くの記事が止まってしまうが、冷静に見るべきポイントがある。
1. 試験用量が桁違い — 動物試験で使われた用量はヒトの想定常用量(1日10〜20mg)を体重比換算ではるかに超える(資料により数十倍〜)。発がん性試験は通常そういう設計をする(短期間で発がんシグナルを拾うため)。 2. 投与期間が桁違い — 104週間は齧歯類のほぼ一生。ヒトに換算すると数十年連続投与に相当する。ボディメイクでの使用は通常6〜12週間サイクルで、長期連用は推奨されない。 3. ヒトでの発がん報告は少ない — フェーズII試験まで進んだ短期投与では発がん報告は確認されていない。ただし「短期投与で出ない=長期で安全」とは言えない。
つまり「動物の一生分・桁違いの量で発がんした」という事実を、「ヒトの常用量・短期使用」にどう外挿するかは未解明。安全と断言する根拠もないが、即座に致命的とも言えない。開発が止まった理由を正確に知った上で、自分のリスク許容度で判断する のがフェアな態度。
業界の現実として、2026年現在もボディビル・持久力競技のアンダーグラウンド市場では使用が継続している。WADA検査対象であることだけは押さえておく必要がある。
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第3章 薬理メカニズム:PPAR-δが活性化されると体内で何が起こるか
カルダリンの効果を理解するには、PPAR-δ(ピーパーデルタ)という受容体の役割を押さえる必要がある。
PPAR-δの基本
PPAR-δは細胞核の中にある「核内受容体」のひとつ。ホルモンや脂質代謝物が結合すると、特定の遺伝子のスイッチを入れる役割を持つ。PPARファミリーには3種類(α、γ、δ)あり、それぞれ別の臓器・代謝経路に関わる。
| サブタイプ | 主な発現組織 | 主な役割 | 関連薬物 |
|---|---|---|---|
| PPAR-α | 肝臓 | 脂肪酸β酸化、TG低下 | フィブラート系薬 |
| PPAR-γ | 脂肪組織 | 脂肪細胞分化、インスリン感受性 | チアゾリジン系薬 |
| PPAR-δ | 骨格筋、心筋、脂肪、皮膚 | 脂肪酸酸化、ミトコンドリア生合成、糖取り込み | GW-501516(臨床薬は未承認) |
カルダリンはPPAR-δを選択的に強く活性化する化合物として設計された。
活性化されると起こる主な反応
1. 脂肪酸酸化の亢進 — 細胞が脂肪をエネルギー源として燃やす反応(β酸化)に関わる遺伝子(CPT1、ACOXなど)の発現が上がる。結果として安静時・運動時ともに脂肪燃焼の比率が高まる。 2. ミトコンドリア生合成 — 細胞内の発電所であるミトコンドリアが増える方向の遺伝子(PGC-1α、UCPなど)が動く。持久系筋線維(遅筋)の特性が強まる。 3. 糖取り込みの改善 — 骨格筋でのグルコース取り込みが改善するという報告もあり、インスリン感受性の改善に寄与する可能性が議論されている。 4. 「運動模倣薬」としての側面 — 2008年にCell誌に掲載された有名な研究(Narkar et al., PMID 18674809)では、運動していないマウスにGW-501516を投与すると持久力が向上することが示された。この論文は「Exercise Mimetics(運動模倣薬)」というキャッチーな概念で広く引用されることになる。
筋同化作用は弱い
ここが重要なポイント。PPAR-δ活性化は 筋たんぱく合成を強く促進する経路ではない。アンドロゲン受容体経由のSARMsやステロイドのような筋量増加効果は期待しづらい。カルダリンが向くのは「筋肉を増やす」ではなく「燃やす・走る」用途。
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第4章 効果(エビデンスの幅と現場の声)
ボディメイク・持久系競技のコミュニティで議論される効果と、論文ベースのエビデンスを並べて見る。
4-1. 脂肪燃焼
エビデンス: PMID 18024853(Risérus et al., Diabetes 2008)では中等度肥満男性6名に10mg/日を2週間投与し、肝臓のVLDL-TG(超低比重リポたんぱく中の中性脂肪)分泌の減少と脂肪酸酸化の有意な亢進が確認されている。投与期間は短いが、ヒトでのメカニズム実証としては質が高い。
現場の声: カット期に併用すると「脂肪の落ち方が早い」「停滞期の壁を抜けやすい」という報告が多い。ただしカロリー収支(食事管理)が前提であり、暴食しても痩せる薬ではない。
4-2. 持久力の向上
エビデンス: Narkar et al. 2008(PMID 18674809)のマウス実験では、GW-501516+運動の組み合わせで持久力が約70%向上、運動なしでもPPAR-δ活性化単独で持久系遺伝子発現が変わることが報告されている。ヒトでの直接の持久力試験は質の高い公開データが乏しい。
現場の声: ランニング・自転車・格闘技などでスタミナが伸びたという報告は多い。HIITトレーニングでのインターバル回復が早くなる、長時間有酸素で息切れが遅れる、といった主観的な変化が中心。
4-3. HDL(善玉コレステロール)の改善
エビデンス: 上述のRisérus et al. 2008では、HDL-Cの上昇とTG(中性脂肪)の低下が示されている。PPAR-δ経由の脂質代謝改善作用。
現場の声: ステロイドサイクル中に併用すると、ステロイドが下げがちなHDLを補正する目的で使われることがある(あくまで現場文脈であり、医師による脂質管理を代替する話ではない)。
4-4. 期待しにくいこと
- 筋量増加 — メカニズム上、アンドロゲン経路を介さないので筋同化作用は限定的。スタックの脇役としては機能するが、メイン剤にはならない。
- 筋力の急増 — 同上。
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第5章 用量レンジと効果実感タイムライン
5-1. 用量レンジ(コミュニティ実勢)
論文での投与量(10mg/日、2週間)を出発点に、ボディメイク文脈では以下のレンジで議論されることが多い。
| レベル | 1日量 | サイクル期間 | 用途の典型 |
|---|---|---|---|
| 初心者 | 5〜10mg | 6〜8週間 | カット補助、有酸素ベース改善 |
| 中級 | 10〜20mg | 8〜12週間 | 本格カット、競技準備 |
| 上級 | 20mg(超は非推奨) | 8〜12週間 | スタック構成の一翼 |
半減期は16〜24時間と報告されており、1日1回もしくは朝夕2回分割で語られる。トレーニング1〜2時間前に摂取するという声もあるが、ヒトでの最適タイミングを示す質の高いデータはない。
5-2. 効果実感タイムライン
| 時期 | 主観的に出やすい変化 |
|---|---|
| Day 1〜3 | 体感はほぼなし。胃部に違和感を感じる人もいる |
| Week 1 | トレーニング中の息切れがやや遅れる感覚 |
| Week 2〜3 | 有酸素の持続時間が伸びる、心拍が早めに落ち着く |
| Week 4 | 体脂肪の落ち方の加速を感じ始める(食事管理が前提) |
| Week 6〜8 | カット期のピーク。輪郭の変化が見える人が多い |
| 終了後 | 持久力の戻りは比較的緩やか(数週間スパン) |
筋量を増やすのではなく「燃やす・走る」効果なので、鏡で見る変化は体重変動より体組成変動(体脂肪率の低下)で表れやすい。InBodyやDXAで測れる人は、絶対値より傾向を追うとよい。
5-3. 注射剤と経口の違い
カルダリンは経口でバイオアベイラビリティが高い化合物として知られているが、市場には注射剤(油性溶液)も流通している。注射剤は初回通過効果(肝臓での代謝による減衰)を回避できるため、肝負担を懸念する人が選ぶことがある。一方、慣れない注射手技のリスク(感染・皮下硬結など)は別途考える必要がある。
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第6章 副作用と注意点(動物発がん性論文の解釈含む)
6-1. ヒトで報告されている短期副作用
論文・コミュニティ報告から拾えるもの。
- 軽度の頭痛、倦怠感
- 胃腸症状(吐き気、軟便)
- 肝逸脱酵素(ALT、AST)の軽度〜中等度上昇例
- 一過性の血圧変動(報告は限定的)
重要なのはここ: ヒトの短期投与で重大な副作用は限定的という報告が多い一方、長期データは存在しない(臨床開発が中止されたため)。「重大な副作用が報告されていない=安全」ではない。データがないだけ。
6-2. 動物での発がん性報告(再掲・冷静解釈)
第2章で触れたが要点を再掲。
- 試験用量:ヒト常用量を体重比で大きく超える高用量
- 投与期間:104週(齧歯類の一生)
- 結果:複数臓器での腫瘍発生率増加
- 解釈:メカニズム的にPPAR-δがすでに発生したがん細胞のエネルギー代謝にも関わるため、長期高用量でリスクが上がる可能性は否定できない
取るべき態度:
- 既往にがんがある、家族歴が顕著、腫瘍マーカー高値といった人は使用を避ける
- 連用しない(サイクル間に十分な休止期間を取る)
- 長期(年単位)使用は推奨されない
- 不安があれば使用しない、というのが最も合理的な選択
6-3. 禁忌・併用注意
- 妊娠・授乳中:絶対禁忌(動物試験での催奇形性データを考慮)
- 既往肝疾患:慎重投与
- 既往腫瘍:推奨されない
- ワルファリン等の抗凝固薬・脂質代謝に作用する薬:相互作用の可能性、医師相談推奨
6-4. 検査推奨項目
サイクル前後で取れる人は以下を見ておくと判断材料になる。
- 肝機能(AST、ALT、γ-GTP)
- 脂質四項目(LDL、HDL、TG、TC)
- 腎機能(Cr、BUN)
- 血糖、HbA1c
- 一般血液検査(CBC)
医療機関での実費検査(自由診療)、もしくはGoogleで「血液検査キット 自宅」で出てくる郵送検査サービスでもある程度のスクリーニングはできる。
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第7章 PCT(ホルモン回復療法)は必要か
結論から言うと、カルダリン単独では PCTは通常不要 とされる。
なぜ不要とされるか
PCTが必要になるのは、HPTA(視床下部—下垂体—精巣軸:男性ホルモンを作る司令系統)を抑制する化合物を使った後の回復処置。具体的には、外因性のテストステロン投与・SARMsなどでアンドロゲン受容体を強く刺激した後、自前の性腺機能が一時的に止まるのを再起動する目的。
カルダリンはPPAR-δに作用する化合物で、HPTAには介入しない(あるいは影響が極めて小さい)。したがって性腺抑制が起きないため、PCTを組む生理学的根拠が薄い。
スタックの場合は別
ただし、後述するスタック(他剤との組み合わせ)で SARMsやステロイドと併用した場合、その併用相手のためのPCTは別途必要になる。「カルダリン入りだからPCT不要」と勘違いしないこと。
PCT全般の考え方はSARMs比較・PCT早見表記事(sarmschart)で深掘りしている。
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第8章 単独使用 vs スタック構成
8-1. 単独(ソロ)サイクル
- 用途:カット補助、有酸素ベース作り、ステロイドサイクル間のブリッジ
- 用量:10〜15mg/日
- 期間:8週間
- 期待値:体脂肪率1〜3%減(食事管理併用前提)、持久力主観改善
8-2. GW + Ostarine(MK-2866)— カット定番
カルダリン+オスタリンの組み合わせは「経口カットスタック」として広く語られる。Ostarineは筋量維持系SARMsの代表格で、減量中のカタボリック(筋分解)を抑える役割。
| 化合物 | 用量 | 期間 | 役割 |
|---|---|---|---|
| カルダリン | 10〜15mg/日 | 8〜10週 | 脂肪燃焼、持久力 |
| Ostarine | 15〜20mg/日 | 8〜10週 | 筋量維持 |
PCTについてはOstarine側の用量・期間でテストステロン抑制が出れば、軽めのPCT(クロミッドなど)を検討する。Ostarine単独の詳細はOstarine解説記事を参照。
8-3. GW + RAD-140 — 上級者向けレコンプ
レコンプ(同時に減量と増量を狙う構成)を狙う上級者の選択。
| 化合物 | 用量 | 期間 | 役割 |
|---|---|---|---|
| カルダリン | 15〜20mg/日 | 8週 | 脂肪燃焼 |
| RAD-140(TESTLONE) | 10〜15mg/日 | 8週 | 筋量増加 |
RAD-140はテストステロン抑制が出やすいため、サイクル後にPCTが必要。スタック設計が重要なので初心者は避ける。
8-4. GW + Cycle中ケア(ステロイドユーザー)
ステロイドサイクル中にHDLが下がる・心血管リスクが上がる懸念に対し、補助的にカルダリンを併用するという議論がある。ただしステロイドサイクル自体の心血管リスクは多因子で、カルダリン併用が長期予後を改善する直接エビデンスはない。
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第9章 偽物の見分け方と品質チェック
研究化合物市場には粗悪品・偽物が混在する。最低限のチェックポイントを押さえる。
9-1. 物性
- 粉末色: 純粋なGW-501516の遊離酸はオフホワイト〜淡黄色の結晶性粉末。明らかな茶褐色や黒ずみは劣化または不純物の疑い。
- 溶解性: 水にはほぼ不溶。エタノールやDMSOには溶ける。経口液剤(プロピレングリコール基剤など)は澄明であるべき。白濁・沈殿が常温で見られたら品質を疑う。
- 臭い: ほぼ無臭〜微弱な薬品臭。強い刺激臭・腐臭は不適。
9-2. 容量・濃度
ラベル表示と実容量・実濃度の乖離は粗悪品の典型。
- 経口錠:刻印・表面のばらつき、欠け、変色がないか
- 経口液:メーカー記載のmg/mLと実容量(目盛り読み)の整合
- 注射剤:油性溶液の透明度、結晶析出、ゴム栓の劣化
9-3. 第三者ラボ分析(COA)
信頼性の高い販売者は COA(Certificate of Analysis、分析証明書) をロット単位で公開している。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による純度表示があれば判断材料になる。当店取扱品もメーカー側のCOAに準拠した流通を確認している。
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第10章 ドーピング検査(WADA検出ウィンドウ)
カルダリンはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)の禁止物質リストに 2009年から「ホルモンおよび代謝調節薬」(S4)カテゴリー で登録されている。競技者は通年禁止。
検出ウィンドウの目安
GW-501516およびその代謝物(GW-501516-sulfoxideなど)は 尿中で投与後40日以上検出可能 という報告がある(個人差・用量依存・検査感度依存。最新の検出技術ではさらに長く検出される可能性あり)。
化合物別の検出ウィンドウ詳細はドーピング検出ウィンドウ早見表で網羅している。
競技者の取扱い
- JADA・WADA管轄競技に参加する者は使用不可
- アマチュア大会でも検査がある場合がある(ボディビル・パワーリフティング・トライアスロンなど)
- 「直前で抜けば検査をすり抜けられる」という発想は推奨できない(検出技術は年々精度が上がっており、想定より長く残る)
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第11章 競合化合物(SR-9009、MK-677との位置関係)
SR-9009(Stenabolic、ステナボリック)
- 標的:Rev-Erbα(概日リズムと代謝に関わる核内受容体)
- 効果:カルダリンと類似した持久力・脂肪燃焼の議論
- 違い:バイオアベイラビリティが極めて低く、経口投与での実効性は議論の的。注射剤での研究が中心
- 立ち位置:カルダリンの代替として語られるが、効果実感の報告はカルダリンより薄い
MK-677(Ibutamoren、イブタモレン)
- 標的:成長ホルモン分泌促進(グレリン受容体アゴニスト)
- 効果:筋量・睡眠・回復、食欲増加
- 違い:作用経路が完全に別。「燃やす」のカルダリンに対し「育てる・回復させる」のMK-677
- 立ち位置:スタックの土台として併用される。MK-677単独の詳細はMK-677効果記事へ
GW-0742(LEAN GW-0742)
- カルダリンの後発化合物。同じくPPAR-δアゴニストで、GW-501516よりPPAR-δへの選択性が高いとされる
- 動物試験での発がん性データが少ない分、選好する人もいる(ただしヒトデータも少ない)
- 当店ではLEAN GW-0742として取扱いあり
選び方の整理はSARMs7種比較記事(7sarms)を参照。
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FAQ
Q1. カルダリンはSARMsですか? A. 厳密には違う。SARMsはアンドロゲン受容体に作用する化合物群を指すが、カルダリンはPPAR-δという別の核内受容体に作用する。流通やコミュニティでは一緒くたに扱われがちだが、薬理学的には別カテゴリ。PCT必要性などの判断にも影響するので区別しておくとよい。
Q2. 発がん性が怖いのですが、本当に使って大丈夫ですか? A. 「大丈夫」と断言できる根拠も「絶対危険」と断言できる根拠もないというのが正直なところ。動物の高用量・一生分投与での発がん性は事実だが、ヒト常用量・短期使用への外挿は未解明。既往にがんがある、家族歴が濃い、長期連用予定の人は避けるのが合理的。短期サイクルで自己責任で使う、というのが市場の実勢。
Q3. PCTは必要ですか? A. カルダリン単独なら通常不要。HPTA(性ホルモン軸)を抑制しないため。ただし他のSARMsやステロイドと併用する場合は、その併用相手のためのPCTが別途必要になる。
Q4. 用量はいくらから始めればよいですか? A. 初めて使う人は5〜10mg/日から、6〜8週間が一般的なスタートライン。体感と検査値を見ながら次回サイクル以降で調整する、というのがコミュニティの相場観。
Q5. ドーピング検査に引っかかりますか? A. 引っかかる。WADA禁止物質で、尿中で投与後40日以上検出される報告がある。競技者は通年禁止。
Q6. 経口と注射、どちらがよいですか? A. 経口でも吸収率は高い化合物なので、注射の絶対的優位はない。肝負担を気にする人や、毎日服薬を忘れがちな人が注射を選ぶことがある。一方、注射手技に不慣れだと感染・硬結リスクがある。慣れた手段を選ぶのが現実的。
Q7. 偽物を掴まないためのポイントは? A. 粉末色(オフホワイト〜淡黄)、溶解性(水不溶)、ラベル表示と実容量の整合、COA(分析証明書)の有無。価格が極端に安い・出所不明のロットは避ける。
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まとめ
GW-501516(カルダリン)は、SARMsの隣に置かれがちだが薬理は別物のPPAR-δアゴニスト。脂肪燃焼・持久力・HDL改善という、ボディメイクと有酸素競技の交差点に立つ化合物。
短期のヒト試験でメカニズムは確認されているが、長期データは存在せず、動物の高用量・長期投与で発がん性が報告された経緯から開発は2007年に中止された。WADA禁止物質。
「燃やす・走る」目的で短期サイクルを組む化合物として、特にカット期のOstarineスタックは現場で定番化している。一方で長期連用や既往がんのある人は避けるのが合理的。使う・使わないの判断は、エビデンスの幅とリスクを正しく理解した上で、自分のリスク許容度で決める領域。
判断の支援になりそうなら、当店のLINEで個別相談も受け付けている。「自分の目的にカルダリンが合うのか、別の選択肢のほうが向くのか」というレベルから話を聞ける窓口として使ってほしい。
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参考文献
- Narkar VA, et al. AMPK and PPARdelta agonists are exercise mimetics. *Cell* 2008. PMID: 18674809
- Risérus U, et al. Activation of peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)delta promotes reversal of multiple metabolic abnormalities, reduces oxidative stress, and increases fatty acid oxidation in moderately obese men. *Diabetes* 2008. PMID: 18024853
- Glinghammar B, et al. Inhibition of adult liver progenitor (oval) cell growth and viability by an agonist of the peroxisome proliferator activated receptor (PPAR) family. *Carcinogenesis* 2005. PMID: 15917308