ジム仲間に余ったAASを譲って違法行為になりかけた人の話

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リード

サイクル(AAS=アナボリックステロイド、筋肉増強目的で使われる男性ホルモン系薬剤の連続投与期間のこと)を組んでみたものの、思ったより使わずに余ってしまった。冷蔵庫の奥に半年前のテストステロンエナンセートのバイアルがゴロゴロ転がっている。ちょうどそのとき、ジムで仲良くなった筋トレ仲間から「余ってるなら少し売ってくれない?」と声をかけられた——。

そんな経験、あるいはそんな話を聞いたことはありませんか。

「自分が個人輸入で取り寄せたものを、自分の友達に少し分けるだけ。お金もガチで請求するわけじゃないし、ちょっとした手間賃をもらうだけ」。一見、何の問題もなさそうに感じる行為が、実は薬機法(旧薬事法)上の重大な違反に該当する可能性があります。最悪のケースでは無許可販売として刑事事件に発展した実例も存在します。

この記事では、実際にジム仲間にAASを譲渡しかけて法律違反の一歩手前で踏みとどまった話を起点に、個人輸入したAASを他人に渡す行為がなぜ違法になるのか、自己使用の範囲はどこまでなのか、もし頼まれたらどう断ればよいのかを整理していきます。

結論

個人輸入で取り寄せたAASを他人に有償・無償を問わず譲り渡す行為は、薬機法上の無許可販売・授与にあたる可能性が極めて高く、違法です。個人輸入が認められているのはあくまで「自分自身が使う分」だけで、家族・友人・ジム仲間への譲渡は対象外。たとえ善意でも、たとえ無償でも、譲った瞬間にアウトと考えてください。余った薬は譲らず、自宅で適切に保管・廃棄するのが唯一の安全な選択肢です。

実話: ジム仲間に「少し売ってくれない?」と言われたあの日

20年ほどトレーニングを続けている中の人が、自分とジム仲間から聞いた話をベースに再構成したエピソードです。

その人は仮にAさんとします。Aさんは8週のテストステロンサイクルを組む予定で、安全マージンを取って多めに個人輸入していました。ところが途中で出張続きになり、注射の頻度が落ちて結局3本ほど余ってしまいました。

同じジムに通うBさんが、ある日ロッカールームで小声で切り出してきました。「Aさん、最近ガッツリ仕上がってきましたね。実は自分も興味があって…余ってるならちょっと譲ってくれませんか。もちろん原価+αでお支払いします」。

Aさんはそのとき、「同じジム仲間だし、原価で渡すだけなら問題ないかな」と一瞬考えました。冷蔵庫で持て余している在庫が、必要としている人の手に渡るならお互いウィン-ウィンに思えたのです。

しかし家に帰って薬機法を調べ直したAさんは、青ざめました。これは完全にアウト、もし発覚すれば「医薬品の無許可販売」として摘発対象。手間賃や原価といった名目でお金が動けば営利性が認定され、無償譲渡であっても薬機法上の「授与」に該当します。

翌日、AさんはBさんに「ごめん、あの話はナシにしてほしい。法律的にマズいから自分は個人輸入で揃えるしか方法がない」と伝え、関係はギクシャクしながらも事なきを得ました。

なぜ個人輸入したAASの譲渡が違法になるのか

薬機法における「販売・授与」の定義

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、医薬品を業として販売・授与することは、都道府県知事の許可を受けた者(薬局・薬店等)に限定されています。AASは日本国内で医療用医薬品扱いの成分が大半で、本来は医師の処方箋がなければ入手できないカテゴリです。

ここでポイントなのは「授与」という言葉。これは無償で渡す行為も含むと解釈されています。つまり「タダだから大丈夫」は通用しません。

個人輸入が許される根拠と、その限界

個人輸入が認められているのは、厚生労働省が示している「自己の疾病の治療等のため、自ら使用する目的での輸入」という枠組みに基づきます。重要なのは「自ら使用する」という部分。家族用ですら原則アウトで、本人のみが対象です。

つまり個人輸入は「自分専用ルート」であって、「みんなで使うための仕入れルート」ではありません。ここを誤解すると一発で違法行為になります。

「業として」の判定はかなり広い

刑事事件として立件されるかどうかは「業として」反復継続性があるかで判断されますが、過去の判例では1回の譲渡でも金銭授受があれば営利目的とみなされた例もあります。「自分は売人じゃない、たまたま1回だけ」という言い訳は、警察・検察には通じない前提で考えるべきです。

譲渡が発覚するルートは意外と多い

「ジム仲間内のクローズドな話だし、バレないでしょ」と思うかもしれませんが、発覚ルートは案外多岐にわたります。

第一は、譲り受けた側に健康被害が出てしまうケース。注射部位の感染、肝機能異常、急性のメンタル不調などで救急搬送されたとき、医師に「友人から譲り受けた」と話せばそこから保健所・警察ルートに繋がる可能性があります。

第二は、人間関係のもつれ。ジム仲間と喧嘩別れしたあと、相手が腹いせに告発するパターン。「あいつから違法な薬を買った」と一言通報されれば、家宅捜索のリスクが現実化します。

第三は、SNS・メッセージアプリの履歴。譲渡の相談をLINEやDMで残してしまうと、後から物的証拠になります。「あのとき送った写真や金額のやり取りが全部証拠」というケースは少なくありません。

余ったAASをどう処理するのが正解か

基本は「自宅保管 + 適切な廃棄」

余ったバイアルやタブレットは、自宅で適切に保管するか、使用期限が切れる前に自分のサイクルで使い切るのが基本です。注射剤は遮光・冷暗所、経口剤は湿気を避けた室温保管が一般的な目安。使用期限が切れたものは、自治体のルールに従って一般廃棄物として処理します。

注射針・注射筒は感染リスクのある「鋭利物」なので、ペットボトル等の硬質容器に入れて密封し、自治体の医療系廃棄物ルールに従ってください。地域によっては薬局回収を行っているところもあります。

余らないように発注量を抑える

そもそも余らせない設計が一番。サイクル計画を立てる段階で「予備は最小限」「次サイクルまでの保管期間を考えて発注」を徹底すれば、譲渡誘惑に晒される機会自体が減ります。

個人輸入代行を使うときは、まとめ買い割引に釣られて多めに頼みすぎないこと。「安いから2本のところ4本」と発注した4本目が、半年後に冷蔵庫の中で譲渡誘惑の種になります。

ジム仲間に頼まれたときの断り方

リアルなジム人間関係を壊さずに断るのは、けっこう難しい話です。いくつかパターンを挙げておきます。

「自分も使い切る予定だから余裕がない」と在庫の存在自体をぼかすパターン。事実関係をオープンにせず、当たり障りなく流す方法です。

「個人輸入の代行サイトを教えるから、自分でやってみて」と情報提供だけに留めるパターン。実際の譲渡はせず、相手が自己責任で個人輸入する道筋を案内します。これなら相手も「自ら使用する目的」の枠内で動けます。

「過去に税関で止まったことがあって、もう余分を持たない主義」と回避理由を作るパターン。法律論を持ち出すと角が立つので、リスク回避の話に置き換える方が穏便です。

いずれにしても、譲ってしまえばこちらが違法側になる構図は変わりません。関係性が一時的にギクシャクしても、譲らないが正解です。

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FAQ

Q1. 無償でもダメなんですか? お金が動かなければセーフでは? A. 薬機法上の「販売・授与」には無償譲渡も含まれます。お金の有無は問題ではなく、医薬品が他人の手に渡る行為そのものが規制対象です。

Q2. 同居している家族(配偶者など)に渡すのもアウトですか? A. 厚生労働省の個人輸入解説では「自ら使用する」が原則で、家族用は対象外と読まれるのが一般的です。配偶者であっても、それぞれが自分名義で個人輸入するのが正しい形です。

Q3. ジム仲間からAASを譲ってもらいました。受け取った側も罪に問われますか? A. 譲り受けた側も無許可で医薬品を入手したことになり、リスクはあります。健康被害の自己責任、トラブル時の証言被告化、ロット不明品による副作用など、譲り受け側のデメリットも大きいです。

Q4. 使用期限が切れたものを廃棄したいのですが、どうすれば? A. 経口剤は中身を取り出して一般ゴミに、容器は資源ゴミにという自治体が多いです。注射剤・注射針は鋭利物として硬質容器に密封し、地域ルールに従ってください。一部薬局は使用済み医療器具を回収しています。

Q5. ジム仲間から「代行で買ってきて」と頼まれました。これも違法? A. 第三者の依頼で代わりに輸入する行為は、本人の自己使用目的という個人輸入の前提から外れます。本人が自分のアカウント・自分の名前で個人輸入代行サイトを使うのが原則です。

最後に

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