HCGなしでもPCTは成功するか SERMオンリーの是非

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リード

サイクル明けに必ず話題になるのが「PCT(ポスト・サイクル・セラピー、サイクル後の回復療法)にHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン、精巣を直接刺激する注射薬)は必要なのか」というテーマです。海外フォーラムを見ても「HCGなしでクロミッドとノルバデックスだけで戻った」という声がある一方、「HCG入れないと精巣サイズが元に戻らなかった」という報告もあり、判断に迷う人は少なくありません。

この記事では、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター、クロミフェンやタモキシフェンを指す薬剤群)オンリーで回復を狙う場合に、どこまでが現実的で、どこからリスクが上がるのかを整理します。サイクル長別の考え方、具体的なプロトコル例、戻りが遅いときの補強策まで、20年やっている中の人の知見と海外文献の所見をベースにまとめます。

結論

サイクル長が8週以内かつ用量が控えめなら、SERMオンリーのPCTでも自然分泌の回復は十分に狙えると考えられています。一方、12週を超える長期サイクルや高用量を経験した体では、サイクル中からHCGを併用しておかないと精巣の萎縮が深く進み、SERMだけでは戻りが遅れるケースが多いと報告されています。判断軸は「サイクル長」「用量」「過去の回復履歴」の3つです。

短期サイクルならSERMオンリーで現実的

サイクル8週以内のケース

テストステロンエナンセートを週400mg程度で8週、あるいはオキサンドロロンのみ6〜8週といった、比較的マイルドな構成であれば、HCGを使わずクロミッドとノルバデックスのみで戻る人が多いというのが海外コミュニティの一般的な見解です。

理由として、視床下部・下垂体・性腺軸(HPTA、自分の体内のテストステロン分泌を司る神経内分泌の連絡網)の抑制が起きていても、抑制期間が短ければ精巣の機能停止が「休眠」レベルにとどまり、SERMによる下垂体への刺激でLH(黄体形成ホルモン、精巣にテストステロン産生を促すホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン、精子産生を促すホルモン)が再立ち上がりやすいためとされています。

用量が控えめだった場合

週量がテストステロン換算で500mg以下に収まっていたサイクルでは、エストロゲン上昇とアンドロゲン受容体飽和の度合いが軽く、PCT開始後の体感的な落ち込みも比較的小さい傾向があります。こうしたケースでは、無理にHCGを足さなくてもSERM2剤で十分対応できる可能性が高いと考えられています。

長期サイクル・高用量はHCG併用が安全

12週を超えると精巣萎縮が深くなる

サイクル長が12週、16週と長くなるほど精巣のライディッヒ細胞(精巣内でテストステロンを作る細胞)が長期間「使われない」状態に置かれ、物理的にサイズが縮みます。この縮み方が深いと、PCTでLHが戻ってきても精巣側の反応が鈍く、ホルモン値が元に戻るまで数か月単位を要することがあります。

このため、長期サイクルでは「サイクル中にHCGを週500〜1000IU程度で並走させ、精巣の萎縮を予防しておく」というアプローチが海外では主流です。サイクル後にHCGを駆け込みで使う方式もありますが、エストロゲン跳ね上がりリスクがあるため、サイクル中並走の方が扱いやすいとされます。

過去にPCTで戻りきらなかった人

一度PCTで回復が不十分だった経験がある場合、次のサイクルでも同じ轍を踏みやすいと言われます。こうした履歴がある人は、サイクル長や用量にかかわらずHCG併用を前提にした方が無難です。SERMオンリーで再挑戦して再度戻りきらなかった場合、TRT(テストステロン補充療法)への移行を検討せざるを得なくなるリスクが上がります。

SERMオンリーPCTの具体的プロトコル

ここからは、HCGを使わない場合の代表的なPCT組み方を紹介します。海外フォーラムで広く共有されている範囲の用量帯であり、個別の体質によって調整は必要です。

クロミッド+ノルバデックスの併用が定番

クロミフェン(クロミッドの有効成分、商品名で呼ばれることが多い)とタモキシフェン(ノルバデックスの有効成分)は、どちらもSERMに分類されますが、作用部位の強さが少し違います。クロミフェンは下垂体への刺激が強く、LH/FSHの立ち上げに優れる一方、視覚症状(目の霞みや光の見え方の変化)を訴える人が一定数います。タモキシフェンは乳腺でのエストロゲン拮抗が強く、女性化乳房の予防・改善に向きます。

このため、PCTでは両者を組み合わせるのが定番で、片方の弱点をもう片方が補う関係になります。

4週プロトコル例

長半減期の注射(エナンセートやシピオネートなど)を最終ショットしてから2〜3週空けてPCT開始、というのが一般的なタイミングです。短半減期の経口や注射(プロピオン酸テストステロンなど)であれば、最終投与から3〜5日でPCT開始となります。

用量例としては、クロミッドを最初の2週で1日50mg、後半2週で1日25mg、ノルバデックスを4週通して1日20mgといった組み方が広く用いられています。体感がきつい場合はクロミッドを1日25mgに落とし、ノルバデックスを継続する形に切り替える人もいます。

5〜6週に延長するケース

サイクル長が10週前後あった場合や、PCT2週目の血液検査でテストステロンの戻りが弱い場合は、4週で切り上げず5〜6週に延長することがあります。後半2週はクロミッド1日25mg+ノルバデックス1日10mgまで落として、フェードアウト的に終わらせる組み方が好まれます。

精巣サイズの戻りが遅いという落とし穴

SERMオンリーPCTで最もよく聞く不満が、ホルモン値は数字上戻ってきているのに精巣サイズの体感的な戻りが遅い、というものです。これは、SERMが下垂体側を刺激してLHを増やす薬であり、精巣そのものを直接刺激するわけではないことが背景にあります。

HCGはLHと類似の構造を持ち、精巣に直接働きかけてサイズを保つ作用があるため、長期抑制で深く萎縮したケースではPCT後にHCGを短期間使ってサイズを戻す、という後処理が必要になることもあります。サイクル中に並走させていれば、この後処理の必要性は大きく下がります。

SERMオンリーで戻りが弱かったときの補強

4週終了時に血液検査

PCT4週目の終わりにテストステロン、LH、FSH、エストラジオール(E2、エストロゲンの主要型)を測定し、テストステロンが基準値下限を下回っている場合は、回復が不十分と判断します。基準値は検査機関で多少違いますが、概ね血清総テストステロンで250ng/dL(ナノグラム・パー・デシリットル)を下回る状態が続くようなら補強を検討する局面です。

追加SERMとHCG後追い

回復が弱かった場合の対処として、ノルバデックスを1日10mgで4週延長する方法と、HCGを週500IUで2〜3週入れてからもう一度SERMをかぶせる方法が知られています。後者は段取りが複雑なので、慣れていない人は次回サイクルから設計をやり直す方が現実的です。

戻らない場合は医療機関へ

PCT終了から3か月経ってもテストステロンが基準値下限に戻らない場合は、自己流での追加投与にこだわらず、男性不妊外来や内分泌内科の受診を検討することが望まれます。長期化したケースは個人での対処範囲を超えやすく、医師の管理下での治療がリスクを下げます。

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FAQ

Q1. クロミッドとノルバデックスはどちらか一方だけでも大丈夫ですか? A. 短期かつ低用量サイクルなら片方だけで戻る人もいますが、女性化乳房の予防まで考えるならノルバデックスを併用するのが安全側です。

Q2. SARMS(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)だけのサイクル後でもPCTは必要ですか? A. 用量と期間によります。LGD-4033やRAD-140を8週以上使った場合は、軽めのSERM PCTを組む人が多いという報告があります。

Q3. HCGをPCT中に使うのは間違いですか? A. PCT「中」のHCG使用はエストロゲン上昇と下垂体抑制の長期化を招くため、避けるべきとされます。HCGはサイクル中の並走、もしくはPCT開始前に使い切る形が一般的です。

Q4. 視覚症状が出たら中止すべきですか? A. クロミッドで光の見え方に違和感が出た場合は用量を半分に減らすか、ノルバデックスのみに切り替える対応が知られています。症状が強く出る場合は中止し、医療機関への相談が推奨されます。

Q5. PCT中の筋トレはどうすべきですか? A. 高ボリュームの追い込みよりも、強度を維持しつつ総量を抑える方向が体感的に楽だという声が多く聞かれます。回復ホルモン環境が整わない期間に過剰な刺激を与えると、筋量損失が加速しやすいためです。

最後に

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