PCTスケジュール作成のコツ サイクル長との関係
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サイクルを組み終えて「あとはPCT(ポストサイクルセラピー:サイクル後に止まったテストステロン分泌を立ち上げ直す回復期)を入れるだけ」という段階で、多くの人が手を止める。いつから飲み始めるのか、何週間続けるのか、薬の組み合わせはどう決めるのか──情報源によって書いてあることが違うし、フォーラムの猛者は経験則で押し切ってくる。
PCTは「サイクルの後始末」ではなく「サイクルと同じくらい設計が必要な工程」だ。開始タイミングを1週間ずらしただけで、回復スピードも筋量保持率も大きく変わる。逆に言えば、半減期(薬が体内で半分になるまでの時間)とサイクル長という2つの軸さえ押さえれば、スケジュール自体は自分で組める。
この記事では、エステル別の開始タイミング目安、PCT期間の決め方、週次タイムラインの実例まで、自分で計画表を書けるレベルまで落とし込む。
結論
PCTスケジュール作成は3ステップに分解できる。第一に、最後に打った化合物のエステルから「血中濃度がPCT薬の効き目を邪魔しなくなるタイミング」を逆算する。第二に、サイクル長と使用化合物の総量から「何週間PCT薬を回すか」を決める。第三に、週ごとの用量プロトコル(クロミッド・ノルバデックスの漸減型が定番)を書き出す。半減期×サイクル長で骨格が決まる、というのが全体像。
エステル半減期別の開始タイミング
PCTを「いつ始めるか」は、サイクル最後の注射(または最後の経口摂取)から、そのエステルが体内でほぼ機能しなくなるまでの期間で決まる。早すぎるとサイクル中の化合物がPCT薬の効果を打ち消し、遅すぎると自分のテストステロン分泌が止まったままの期間が無駄に伸びる。
テストステロン・プロピオネート系(短鎖)の場合
プロピオネートは半減期がおよそ0.8〜2日と短く、最終投与から約3日後にはPCTを開始するのが一般的な目安。マステロン(ドロスタノロン・プロピオネート)やトレンボロン・アセテートなど短鎖エステルで組んだサイクルも同じ感覚で、最終投与から3〜5日後にPCT開始というスケジュールが組みやすい。
短鎖は「サイクル終了から回復開始までのインターバルが短い」というメリットがあり、サイクル全体の拘束期間を圧縮したい人に向く。
テストステロン・エナンセート/シピオネート(長鎖)の場合
エナンセート(半減期およそ5〜10日)、シピオネート(同8〜12日)で組んだサイクルでは、最終注射から約2週間後にPCTを開始するのが標準的。海外フォーラムやAGA・AAS関連の臨床文献でも「Test E最終投与から14日後」というラインがよく挙げられる。
これより早く始めるとエストロゲン(女性ホルモン:E2)の揺り戻しを抑えきれず、遅らせるとHPTA(視床下部-下垂体-性腺軸:テストステロン分泌を司る回路)の沈黙期間が長引く。
デカ・エクオイポイズ等の超長鎖の場合
ナンドロロン・デカノエート(デカジュラボリン系)は半減期がおよそ6〜12日だが、活性代謝物の残留を考慮すると最終投与から3週間後のPCT開始が無難。エクイポイズ(ボルデノン・ウンデシレネート、半減期約14日)はさらに長く、最終投与から3〜4週後の開始を目安にする例が多い。
超長鎖を含むサイクルでは、サイクル後半をテスト・プロピオネート等の短鎖に切り替えてフェードアウトさせ、PCT開始までのギャップを縮める「フロントローディングの逆」を組む人もいる。
PCT期間の決定方法
開始タイミングが決まったら、次は「何週間続けるか」。
基本ライン:4週間
軽め〜中程度のサイクル(テストステロン単体、8〜10週、週500mg程度)であれば、PCTは4週間が基本ライン。クロミフェン(クロミッド)・タモキシフェン(ノルバデックス)を組み合わせた4週間プロトコルは、海外のAAS関連コミュニティでも最も流通している型。
長サイクル・多化合物では6週間以上
12週以上のサイクル、あるいは19-nor系(ナンドロロン・トレンボロン等)を含むサイクルでは、PCT期間を6週間に延長するケースが多い。19-nor系はプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)経路にも影響するため、回復に時間を要するという報告がある。
期間の決め手
期間の決め方は「サイクル長 × 化合物の抑制強度」のざっくり積で考える。
- 8週×中強度(テストのみ等):4週PCT
- 12週×中強度(テスト+マステ等):4〜6週PCT
- 12週以上×高強度(テスト+トレン+デカ等):6週以上+ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)併用を検討
週次タイムライン例
エナンセート週500mgを10週、最終投与日を「Week 10 Day 7」とした場合のスケジュール例を書き出してみる。
Week 11〜12(待機期間) 最終投与から14日経過するまではPCT薬を入れない。エナンセートの血中濃度が下がり切るのを待つフェーズ。この間は通常のトレーニング・食事を維持し、極端な減量カロリーには入らない。
Week 13(PCT Day 1〜7)
- クロミッド:50mg/日
- ノルバデックス:20mg/日
立ち上がりの1週目は最も用量を高くする。E2の揺り戻し(リバウンド)が起きやすいタイミングで、ノルバデックスを併用することで乳腺刺激を抑える狙い。
Week 14(PCT Day 8〜14)
- クロミッド:50mg/日
- ノルバデックス:20mg/日
2週目も用量維持。体感的に気分の波が出やすい時期で、睡眠とタンパク質摂取を崩さないことが重要。
Week 15(PCT Day 15〜21)
- クロミッド:25mg/日
- ノルバデックス:10mg/日
半量に落として漸減フェーズへ。
Week 16(PCT Day 22〜28)
- クロミッド:25mg/日
- ノルバデックス:10mg/日
最終週。終了後はPCT薬なしで2〜4週ほどブリッジ期間を置き、血液検査(テストステロン、E2、LH/FSH)を受けるのが理想。
表記の意味
クロミフェン(クロミッド)は弱いエストロゲン作用を持つ選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)で、視床下部のエストロゲン受容体をブロックすることでLH(黄体形成ホルモン)・FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促し、結果として精巣のテストステロン産生を再開させる方向に働く、と海外の臨床文献で報告されている。タモキシフェン(ノルバデックス)も同じくSERMだが、乳腺組織への作用が強く、ジネコマスチア(女性化乳房)予防の文脈でも使われる。
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LINEでガイドを受け取るFAQ
Q1. PCTを始めるのが早すぎるとどうなりますか? A. 最終注射した化合物の血中濃度がまだ高い状態でクロミッドやノルバデックスを投入しても、外因性のテストステロンが視床下部に抑制シグナルを送り続けているため、SERMがLH/FSH分泌を促す効果が打ち消される。結果として「PCTを回したのに回復していない」という状態になりやすい。
Q2. PCTを始めるのが遅すぎる場合のリスクは? A. 化合物の血中濃度が抜けた後もHPTAは抑制状態のままなので、自分のテストステロンが低い期間が無駄に延びる。気分の落ち込み、性機能の低下、筋量減少が長引くという報告がある。
Q3. クロミッドとノルバデックスを両方使う必要はありますか? A. 必須ではない。軽いサイクルではノルバデックス単独、強いサイクルでは両者併用、というのが海外フォーラムでよく見る使い分け。クロミッドは視床下部へのブロック作用が強く、ノルバデックスは乳腺への作用が強い、という役割分担で組み合わせる人が多い。
Q4. PCT中にトレーニングは続けてよいですか? A. 続けるのが一般的。ただしボリュームは普段の80%程度に落とし、新規高重量挑戦は控えるのが無難。テストステロンが立ち上がりきっていない期間なので、回復速度が落ちる前提でメニューを組む。
Q5. PCT終了後すぐに次のサイクルに入ってもよいですか? A. 推奨されない。Time On = Time Off(オン期間と同じだけのオフ期間)を取るのが一般的な目安で、ホルモン値が完全に戻ったことを血液検査で確認してから次のサイクルに入るのが安全側の判断。