HCGモノセラピーのプロトコル オンサイクル中の使用
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リード
アナボリックステロイド(AAS)を使い始めて数週間、鏡を見たときに「あれ、玉が小さくなってないか?」と気づいた経験はありませんか。サイクル中に精巣が縮む現象は、外部からのテストステロン投与によって脳から精巣への指令(専門用語でゴナドトロピンと呼ばれる、LH/FSHホルモン)が止まることが原因です。この状態を長期間放置すると、サイクル終了後の回復にも時間がかかりやすくなります。
そこで注目されるのが、HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを、サイクル中に低用量で並行投与する「HCGモノセラピー」というアプローチです。本記事では、オンサイクル中にHCGを使う目的、具体的な用量レンジ、避けるべき落とし穴、そしてPCT(ポストサイクルセラピー、サイクル後の回復療法)に切り替えるタイミングまでを整理して解説します。
結論
オンサイクル中のHCGは、精巣の機能と容積を維持する目的で、週あたり500〜1000IU程度(250〜500IU EOD=一日おき)の低用量で並行投与するのが一般的なレンジです。高用量・長期間の連用は受容体の感受性低下(デスエンシティビゼーション)を招くため避け、PCT開始の約10日前には中止して内因性回復フェーズに移行します。
H2: オンサイクルHCGの目的は「テスト上げ」ではなく「精巣維持」
HCGはLH(黄体形成ホルモン)と似た作用で、精巣のライディッヒ細胞を直接刺激し、精巣内でのテストステロン産生を促すホルモンです。オンサイクル中はすでに外部から大量のテストステロンが入っているため、血中テストステロンを「上乗せ」する目的でHCGを使うわけではありません。
萎縮を防ぐという発想
サイクル中、視床下部-下垂体-性腺軸(HPTA)が抑制されると、精巣への信号が途絶え、精巣内のテストステロン産生も停止します。この状態が続くと精巣が物理的に縮み、サイクル終了後にHPTAが回復しようとしても、精巣側の応答性が鈍くなっているケースが報告されています。
低用量のHCGを並行投与することで、サイクル中も精巣内のステロイド産生を維持し、容積の減少を抑える狙いがあります。これは「サイクル後の回復をスムーズにする保険」と考えるとイメージしやすいでしょう。
妊孕性への配慮
精巣内テストステロンが維持されることは、精子形成(スペルマトジェネシス)にも関わります。長期のAAS使用後に妊孕性低下が課題になるケースは少なくなく、将来的に子どもを望む可能性がある方ほど、オンサイクル中のHCG並行投与を検討する価値があると考えられます。
H2: 用量レンジは「250IU EOD」が基準
実際にやっている人の用量帯としてもっとも引用されるのが、「250IU EOD(一日おきに250IU)」、つまり週あたり約750〜1000IUのレンジです。
低用量から始める理由
HCGは長期間・高用量で使うと、ライディッヒ細胞のLH受容体が感受性を失い、後述するデスエンシティビゼーション(脱感作)を引き起こします。この副作用を避けるため、必要最小限の刺激で精巣維持を狙うのが基本姿勢です。
具体的なレンジの目安は次の通りです。
- 500IU/週(250IU×週2回):軽度サイクル、短期サイクル向け
- 750〜1000IU/週(250IU EOD):標準レンジ
- 1500IU/週以上:萎縮が顕著なケースのリカバリー目的、ただし4週以内に減量
投与方法
HCGは皮下注射(SC)で投与するケースが多く、インスリン用の細い針でも対応可能です。注射部位は腹部や太もも前面が一般的とされます。
凍結乾燥粉末タイプの製品は、添付されている専用希釈液(または静菌生理食塩水)で溶解して使用します。
- HCG 5000IU(¥15,000) は1バイアル5000IU入りで、希釈後は冷蔵保存し2〜3週間以内に使い切るのが目安です。週1000IU運用なら約5週間分にあたりますが、希釈後の安定性を考えて分割使用する設計が現実的でしょう。
- HCG 2000IU(¥2,662) は短期サイクル向けの小容量タイプで、初回トライアルや使い切りやすさを重視する場合に選ばれます。
H2: 受容体の感受性低下(デスエンシティビゼーション)を避ける
HCGモノセラピー運用で最大の落とし穴とされるのが、ライディッヒ細胞の脱感作です。
なぜ起きるか
LH受容体はHCGの過剰刺激にさらされ続けると、ダウンレギュレーション(受容体の数や応答性が低下する現象)を起こします。結果として、PCT開始時に内因性LHが復活しても、精巣がそれに応答しにくくなり、回復が逆に遅れるという本末転倒な事態が起こり得ます。
回避策
- 用量を盛らない:1000IU/週前後を上限の目安として運用
- 連続使用期間を区切る:長期サイクル中も4〜6週間ごとに数日の休薬を入れるアプローチもある
- PCT前には必ず中止する:後述
過去の臨床研究では、男性不妊治療目的でHCGを長期投与した症例で、テストステロン応答性が一時的に鈍化したという報告もあります。AAS使用者は健常な妊活目的より高い量を使う傾向があるため、より保守的な運用が望まれます。
H2: PCT開始の10日前には中止する
オンサイクルHCGをそのままPCTフェーズまで持ち込んでしまうのは、よくある誤りの一つです。
なぜ事前中止が必要か
PCTの目的は、抑制されていたHPTAを再起動することにあります。視床下部からのGnRH→下垂体からのLH/FSH→精巣からのテストステロン、というフィードバックループを取り戻すフェーズです。
ここでHCGが残っていると、精巣がHCGの刺激で動いてしまうため、下垂体からのLH分泌が「足りている」と誤認され、内因性LH/FSHの回復が遅れます。SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター。クロミフェンやタモキシフェンなど)が下垂体を叩く意義も薄れます。
タイミングの目安
- 長エステル(テストステロンエナンセート等)サイクル:最終注射の2〜3週間後にPCT開始 → HCGはPCT開始の約10日前に中止
- 短エステル中心サイクル:最終注射の3〜5日後にPCT開始 → HCGは同様に約10日前を目安に終了
スケジュール例(長エステル14週サイクル):
- W1〜W12:HCG 250IU EOD並行
- W13〜W14:HCG停止、活性物質のクリアランスを待つ
- W15〜W18:SERMによるPCT本番
H2: 副作用とモニタリング項目
HCGはLHアナログとして働くため、精巣でのテストステロン産生に加え、エストラジオール(E2)への芳香化(アロマターゼによる変換)を増やす方向に作用します。
注意すべき副作用
- E2上昇による水分貯留・乳腺の張り(ジャイネコマスティア=女性化乳房の前駆症状)
- 気分の変動、にきびの悪化
- 注射部位の局所反応
E2が上がりやすい方は、アロマターゼ阻害薬(AI)を併用するケースもありますが、AAS本体の用量・芳香化しやすさとの兼ね合いで判断する必要があります。
モニタリング推奨項目
- 総テストステロン、遊離テストステロン
- エストラジオール(E2、できれば超高感度法)
- LH、FSH(オンサイクル中は基本的に抑制されているはずの値の確認)
- 精巣容積(自己触診で大まかに変化を把握)
可能であればサイクル前・サイクル中盤・PCT直前・PCT後で血液検査を取り、客観値でフェーズ移行を判断するのが安全です。
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LINEでガイドを受け取るFAQ
Q1. HCGを使えばPCTは不要ですか? A. いいえ、HCGはあくまで精巣維持の補助であり、HPTAの「上流」である視床下部・下垂体の再起動はできません。SERMを軸としたPCTは別途必要です。
Q2. 250IU EODではなく1000IUを週1回まとめてではダメですか? A. 半減期と受容体への刺激パターンの観点から、EOD分割の方が血中濃度の安定とピーク刺激の抑制に向くと考えられています。同じ週1000IUでも、まとめ打ちはE2スパイクを起こしやすい傾向があります。
Q3. 短いサイクル(6〜8週)でもHCGは必要ですか? A. 個人差が大きいですが、6週未満で萎縮の自覚がない場合は省略する判断もあります。気になる場合は2000IUの小容量バイアルで短期運用するのが現実的です。
Q4. HCGとhMGの違いは? A. HCGはLH様作用、hMG(ヒト閉経期ゴナドトロピン)はFSH作用を含みます。精子形成の質を本格的に立て直す場面ではhMG併用が議論されますが、オンサイクル中の標準運用ではHCG単独が一般的です。
Q5. 凍結乾燥品を溶かした後、どれくらい持ちますか? A. 静菌生理食塩水で希釈し冷蔵保管した場合、目安として2〜3週間程度とされます。製品の添付情報に従い、変色や濁りが出たものは使用しないでください。