AASバルクアップ期の食事プラン カロリーとPFCバランス

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リード

AAS(アナボリックステロイド、筋肉合成を促す薬剤の総称)を使ったバルクアップ期に「サイクルを組んで注射まではしたものの、食事をどう組めばいいか分からない」と止まってしまう人は少なくありません。せっかくテストステロンの血中濃度を高めても、摂取カロリーや栄養素のバランスが整っていなければ、筋肉合成の伸びしろを使い切れないまま脂肪だけが乗っていくことになります。

この記事では、AASバルク期に必要な総カロリーの算出方法、PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)のバランス、1日3食のミール例、トレーニング前後の栄養タイミングまでを具体的な数字で解説します。読み終えるころには、自分の体重・除脂肪体重・トレーニング強度に合わせて、明日からの献立を組み立てられるようになっているはずです。

結論

AASバルク期の食事は、メンテナンスカロリー(現体重維持に必要なカロリー)に対して+300〜500kcalのオーバーカロリーを確保し、PFCはタンパク質2.2〜2.8g/kg、脂質は総カロリーの20〜25%、残りを炭水化物に振るのが標準的な組み方です。タンパク質を最優先で固定し、炭水化物でトレーニングのエネルギーを賄い、脂質はホルモン合成を支える最低ラインを下回らないよう設計します。

AASサイクル中の筋タンパク合成と栄養の関係

AASは、外因性のテストステロンやその誘導体をベースに筋細胞のアンドロゲン受容体に作用し、筋タンパク合成(MPS、muscle protein synthesis)を平常時より高い水準で維持する作用が国内外の研究で報告されています。ここでよく誤解されるのが「AASを入れれば食事はそこそこでも筋肉がつく」という考え方です。実際には、合成を回す材料(アミノ酸)と燃料(エネルギー)が不足していれば、上がった合成シグナルを十分に活かせません。

ナチュラル時(AASを使わない通常時)の研究では、1日のタンパク質摂取量を1.6g/kgまで増やすと筋肥大効果がほぼ頭打ちになることが示されています。一方でAASサイクル中は合成上限が押し上げられるため、タンパク質の上振れ要求が出てきます。後述のとおり2.2〜2.8g/kg程度まで引き上げると、合成側のキャパシティに材料が追いつきやすくなります。

また、AAS使用中は水分・グリコーゲン(筋肉中の糖の貯蔵形態)の保持量が増える傾向があるため、炭水化物を十分に入れると体重・パンプ感の伸びが分かりやすく出ます。逆に低糖質で進めると、せっかくのアナボリック環境を活かしきれないまま体重が乗らないという結果になりがちです。

1日に必要なカロリーの計算方法

ステップ1: メンテナンスカロリーを出す

最初に必要なのは、現状の体重を維持できているカロリー、つまりメンテナンスカロリーの把握です。簡易式としてよく使われるのは次の2つです。

  • 体重(kg)×30〜35kcal(中強度トレ週3〜4回の場合)
  • 体重(kg)×35〜40kcal(高強度トレ週5回以上の場合)

例えば体重75kgで週4回のトレーニーであれば、75×33=約2,475kcalがメンテナンスの目安になります。式はあくまで初期値で、2週間ほど同じカロリーを継続しても体重が動かないラインを実測で確定させてください。

ステップ2: オーバーカロリーを上乗せする

ナチュラルでのリーンバルクは+200〜300kcalが推奨されますが、AASサイクル中は合成上限が上がっている分、+300〜500kcalまで引き上げて問題ありません。先ほどの75kgの例なら、2,475+400=約2,875kcalがバルク時の目標カロリーになります。

ただし最初から+700kcal以上に振り切ると、増えた分の多くが脂肪に回ってしまい、サイクル後のカット(減量期)で苦労します。週単位の体重増加で0.3〜0.6%/週(75kgなら週225〜450g)程度を目安に、増えすぎなら+300側、伸び悩むなら+500側に調整してください。

ステップ3: 体重の動きで微調整する

2週間に一度、起床直後・排尿後・空腹時の体重を3日連続で測り、平均値の推移を見ます。週0.3%未満しか増えていなければ+150kcalを足し、週0.7%以上増えているなら-150kcalを引きます。AAS使用中は水分変動が大きいので、1日単位ではなく週平均で判断するのが安全です。

PFCバランスの設計

タンパク質: 2.2〜2.8g/kgで固定

AASバルク期の食事設計は、タンパク質を最優先で確定させるのが鉄則です。レンジは体重1kgあたり2.2〜2.8gが目安で、75kgなら165〜210gになります。動物性中心(鶏胸、牛赤身、卵、乳製品、魚)で組み、1食あたり40〜50gずつ4〜5回に分けると、消化と合成シグナルの維持の両面でバランスが取れます。

3g/kg以上に振っても合成側の上乗せは小さく、満腹で炭水化物が入らなくなる方が問題になります。2.5g/kg前後を中心値に置くのが扱いやすいラインです。

脂質: 総カロリーの20〜25%

脂質を絞りすぎると内因性のホルモン合成や脂溶性ビタミンの吸収に影響が出ます。AAS使用中は外因性のテストステロンが入っているとはいえ、脂質を10%以下に削るのは推奨されません。総カロリーの20〜25%を目安に、オリーブオイル、ナッツ、卵黄、青魚など不飽和脂肪酸の比率を高めに組みます。

75kg・2,875kcalの例で脂質22%なら、2,875×0.22÷9=約70gが1日の脂質量になります。

炭水化物: 残りすべて

タンパク質と脂質を引いた残りのカロリーを炭水化物に充てます。先ほどの例だと、タンパク質185g×4=740kcal、脂質70g×9=630kcal、合計1,370kcalがP+Fで、残り1,505kcalを炭水化物に回すと約375gです。

体重1kgあたり4〜6gが標準的なレンジで、トレーニング日はレンジ上限、オフ日は下限に寄せると体脂肪の乗り方をコントロールしやすくなります。米、オートミール、パスタ、芋類など消化吸収が安定した固形糖質を中心に据えてください。

3食+補食のミール例(体重75kg・2,875kcal想定)

実際の献立に落とすと次のような構成になります。あくまで一例なので、好きな食材に置き換えて構いません。

朝食(約700kcal)

  • 白米 茶碗大盛り1杯(250g、糖質約90g)
  • 卵 3個(全卵2+卵白1)
  • 鶏胸肉ハム 80g
  • 納豆1パック
  • バナナ1本

タンパク質約45g、脂質約18g、炭水化物約110g。起床後の早い時間にタンパク質と糖質を入れて、夜間の異化(筋肉が分解される方向)から合成側へ切り替えます。

昼食(約900kcal)

  • 白米 茶碗大盛り1杯半(370g)
  • 鶏胸肉 200g(皮なし、塩胡椒+オリーブオイル少量で焼く)
  • ブロッコリー150g
  • 味噌汁(豆腐+わかめ)

タンパク質約55g、脂質約15g、炭水化物約140g。1日で最もボリュームのある一食にして、午後のトレーニングへ向けた燃料を確保します。

トレーニング前後(約500kcal)

  • トレ60〜90分前: おにぎり2個+プロテイン25g
  • トレ直後: プロテイン40g+マルトデキストリン40g

詳しい根拠は次のセクションで触れますが、合計でタンパク質約65g、炭水化物約100gがトレ周辺に集中する形になります。

夕食(約750kcal)

  • 白米 茶碗1杯(180g)
  • 牛赤身ステーキ 200g(モモ・ヒレ等)
  • サーモン刺身 6切れ
  • サラダ(オリーブオイル大さじ1)
  • 味噌汁

タンパク質約55g、脂質約30g、炭水化物約75g。脂質の多くをここに寄せ、就寝中の合成材料(オメガ3、ロイシン豊富な動物性タンパク質)を確保します。

トレーニング前後の栄養タイミング

トレ前: 1.5〜2時間前に固形炭水化物+タンパク質

トレーニング直前すぎる固形食は消化に血流を取られてパフォーマンスが落ちます。60〜120分前を目安に、消化の重くない白米やおにぎり、低脂質のタンパク源(プロテインや鶏胸)を組み合わせます。糖質40〜60g、タンパク質20〜30gが扱いやすい量です。

トレ中: BCAA・EAA・糖質ドリンクは任意

90分以内のトレーニングであれば、水分補給と少量の電解質で十分というのが現在の主流の考え方です。2時間を超える長尺セッションや、二部練習を組むときに限ってEAA(必須アミノ酸)+糖質ドリンクを差し込むと、消耗の度合いが軽くなります。

トレ直後: タンパク質+速い炭水化物

トレ直後30分以内に、ホエイプロテイン30〜40g+マルトデキストリンやデキストリンなどの速い炭水化物40〜60gを入れると、グリコーゲン回復と合成スイッチの両方を効率的に押せます。AASサイクル中はインスリン感受性も高まりやすく、糖質を入れた直後の筋細胞への栄養取り込みが体感としても分かりやすくなります。

就寝前: ゆっくり吸収のタンパク質

就寝中の絶食時間が長くなるほど異化方向に傾きます。カゼインプロテイン、低脂肪カッテージチーズ、ギリシャヨーグルトなど吸収のゆるやかなタンパク源を30〜40g入れてから寝ると、夜間の合成維持に寄与します。

バルク期に注意したい3つの落とし穴

1. 水分・グリコーゲンの増加を体脂肪と勘違いして急にカロリーを削る。AAS開始から2〜3週間は水分・糖の貯蔵が増えるので、体重1〜2kg増は脂肪ではない可能性が高いです。 2. 食事の質を落として量だけ追う。揚げ物・菓子パン中心では炎症マーカーが上がりやすく、消化器の不調がトレーニングの集中を奪います。 3. 食物繊維と水分を軽視する。タンパク質と総カロリーが増えるバルク期は便秘しやすいので、野菜・きのこ・海藻で食物繊維を1日25〜35g、水分を体重×40mL以上確保します。

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FAQ

Q1. AASを使わないバルクと比べて、カロリーはどれくらい多く取るべきですか? A. ナチュラル時のリーンバルクが+200〜300kcalなのに対し、AASサイクル中は合成側のキャパシティが上がっているため+300〜500kcalまで上乗せ可能です。週0.3〜0.6%の体重増加に収まるよう調整してください。

Q2. 脂質をさらに削って炭水化物を増やすのはありですか? A. 総カロリーの15%を下回るとホルモン合成・脂溶性ビタミンの吸収に影響が出やすくなります。外因性のテストステロンが入っているサイクル中であっても、20〜25%は確保するのが無難です。

Q3. プロテインパウダーは1日にどれくらいまで入れていいですか? A. 上限の決まりはありませんが、固形食からのタンパク質を主軸に置き、補助としてホエイで30〜80g/日に収めると消化器の負担が小さく済みます。

Q4. 1日の食事回数は何回が理想ですか? A. 1食あたり40〜50gのタンパク質を吸収しきるなら、4〜5食に分割すると合成シグナルが日中通して維持されます。3食しか取れない場合は、就寝前のゆっくり吸収タンパクで合計回数を増やす形でも構いません。

Q5. バルク中に体脂肪が増えすぎたら、サイクル中でもカットに切り替えていいですか? A. サイクル途中で減量モードに入ること自体は可能ですが、体重増加が止まる程度のカロリー設定にとどめ、極端な低糖質や1,500kcal以下の急減量は避けてください。アナボリック環境を活かしてレコンプ(同時に脂肪を落としつつ筋肉を増やす)を狙う方が、サイクル全体の費用対効果が高くなります。

最後に

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